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──ふむ、思っていたよりもアッサリと押し込み強盗三人組を制圧できたことに、オレたちは拍子抜けした。が、
「──よう、馬脚を現したな『金魚のフン』──いや、『強盗』さんよ!」
魔導道具『スケサン』の効果を解除して、オレらは姿を現す。
オレらに因って各々床に押さえ付けられている強盗たちは、顔面を床に押し付けられて表情は拝めないが、全員が驚愕していることは手に取るように分かった。何しろ、音も無く部屋の中に侵入された上に、わけも分からずに床に押さえ込まれ、その上つい今し方までオレらの姿が見えなかったのだからな。そして、オレらは、宿屋の従業員を助け出した時に頂戴しておいたロープで強盗三人を簀巻きにした。念の為、初顔合わせの男と女には魔術が使えるかどうかが分からないので、不意打ちで呪文を使われないよう猿ぐつわを噛ませて。
オレは簀巻きにして床に転がした男を椅子代わりにして座り、簀巻きで不様に床に転がる『強盗』のプエッラを睨み付ける。
「貴方たち、これはなんの真似ですの!?」
──おいおい、コイツ、自分たちが押し込み強盗をしたってーのに、犯罪者としての自覚が無いのか?
トンチンカンな言葉を吐くプエッラをオレは呆れ睥睨した。そこへ、オレをマネしてかエリーとターミが簀巻きにした女を椅子代わりにして座ると、エリーが、
「それはこっちのセリフ。あたしたちが留守の間に、あたしたちの荷物を盗もうなんて、なんて極悪な盗っ人なのかしら」
プエッラを糾弾した。しかし、プエッラは悪びれた様子は微塵も無く、
「何を仰っているのですの? わたくし達は、“『反魔王軍連合軍の総司令官』様から直々に『現代の五大賢者が書き記した魔導書』を全て集める”密命を拝命された特使なのですわよ! 即ち、わたくし達の行いを妨げた貴方たちの方こそが罪人ですわ!!」
訊いてもいない事をベラベラと捲し立て、オレらを罪人扱いしてきやがった。
「……あのよう、幾らご大層な大義名分を立てても、一般市民の物を法に準じない方法で取ったら、“ただの泥棒”だぞ。」
オレはそんな傍若無人な言葉を曰うプエッラに言い聞かせる。尤も、この『強盗』には馬耳東風だろうがな……。ちなみに、プエッラの詞の中にあった『反魔王軍連合軍』とは、ここ『パローッヨ大陸』と隣似合う『カメリア大陸』で五年以上も続いている戦乱にて、“とある国の新王が戴冠と共に自らを『魔王』と称し、自国の軍を『魔王軍』と改名して始めた軍事侵略”を阻止するために『魔王軍』以外のカメリア大陸にある国すべてで結成された連合軍だ。閑話休題。
「はっ! そんな戯れ言で、わたくしを騙くらかそうしても無駄すわ! 恥を知りなさい!!」
──ダメだ、コイツ。自分の現在の『魔王と戦う連合軍のトップから密命を受けた特使』って立場に酔ってやがる。しかも、改めて言うまでもないが、これまでの言動からもプエッラが偏見タイプの貴族出身であることは自明の理なので、輪をかけて質が悪い。
「……思い込みの激しい人って、ホント面倒よね……」
「……そうですね、師匠……」
エリーもまたオレと同じく肩を竦めて頭を振り、ターミもエリーの意見に肯いた。
その後、プエッラたちは宿屋の従業員の通報でやって来た憲兵たちに引き渡された。これで、最近できた頭痛の種が一つ取り除かれたワケだ。めでたしめでたし、と。




