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オレらは、出来るだけ足音を抑えながら、宿屋の階段を駆け上がり、廊下を疾駆する。そして、オレらが泊まっている部屋の手前で一旦ストップ。
「(ここからは忍び足だ。それと、部屋に突入したら、さっき決めた段取り通りにな?)」
そこで、手のジェスチャーでエリーとターミに“『押し込み犯捕縛作戦』の最終確認”。ちなみに、ターミには手による合図は、ここマシカに来る道すがらに教えておいたので、オレの手の動きを見ても、首を傾げたりはしない。閑話休題。
二人は一つ頷き、そろりと歩き出す。壁伝いに進むと、やがてオレらが泊まっている部屋の中にいる連中の声が壁越しに聞こえてきた。
「──まったく、何処にあるんですの?! 光の賢者の『魔導書』は?!」
「──プエッラ様、こちらにはありませんでした」
「──プエッラさん、コ、コチラには、如何わしい画集がっ!!」
「──もう! この部屋の隅から隅まで、捜して下さいまし!」
聞き覚えがある女の金切り声が一つに、初めて聞く男女の声。おそらく、初めて聞いた男女の声はエリーとターミが以前に言っていた『怪しい二人組』だろう。しかし、『金魚のフン──こと、プエッラ』の目的が『光の賢者の魔導書』だったとはな……。
扉の前に辿り着いたオレは、部屋の中の連中に気付かれないよう小声で呪文の詠唱を始める。使う魔術は魔道士組合の支部長室で使った“遮音結界の呪文”だ。
「寂音箱」
オレが『力ある詞』を唱えると、立方体の遮音結界がオレの目の前に出現。そして、立方体の結界は拡大すると、廊下と部屋の中を隔てる扉をスッポリと結界の内側に収めた。
──さあ、捕り物の時間だ!
オレは遮音結界の内側にある扉のノブを掴んで捻り、ゆっくりと扉を開く。ちなみに、ここで解説をしておくと、『寂音箱』の遮音結界は結界内への出入りは自由に出来るため、防御結界としてはまったく機能しないので注意が必要だ。閑話休題。
開いた扉の先──オレらが泊まっている部屋の中では押し込み犯の三人組が、オレらのリュックサックをひっくり返して中身をぶちまけ、更には室内の備品であるベッドの布団を刃物で乱暴に切り裂き、化粧台に備え付けの引き出しまでも化粧台から外されて床に転がっていた。
──ひでぇー事しやがる。まんま、押し込み強盗だな……。
「許すまじっ!!」
「ヒドい……」
寂音箱の結界内に踏み入ったエリーは部屋内の惨状に憤り、ターミもその光景にショックを受ける。
「……んじゃ、二人とも用意はいいな?
『スケサン』!
『カクサン』!」
オレは魔導道具『スケサン』と『カクサン』を併用し、オレら三人の姿を透明にする。そして、
「いくぞ!!」
遮音結界から一気に飛び出し、押し込み強盗たちを制圧にかかる!




