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「──ちょっと、この本の『鍵』を出してよ!」
──仕舞おうとしたところに、またもやモーツァが横柄に声を掛けてきた。
オレは『ヴァンの書』をかばんの中に収めると、当然、本の錠を開く為の『鍵』は出さず、立ち上がり──飛び込みキャッチ後は床に座っていた──、いつまでも横柄なモーツァの手から“錠が付いている本──『レオナルドの魔導道具総目録』”を取り返す。
「ちょっ!? 何するんだよ?!」
「それはこっちの台詞だ!!」
オレは『レオナルドの魔導道具総目録』を見せ付けながら、
「言っとくが、『こいつ』は、お前が欲しがってる『本』じゃねーっ! こいつは彼の伝説の魔導道具技師レオナルドが作った魔導道具を欠陥品や失敗作も含めた全てを網羅した『魔導道具の総目録』だ。『こいつ』の中には“世に出てねー、ヤベェー代物なんかの造り方なんかも必要な材料込み”で書かれている。だから、おいそれとは他人に見せるワケにはいかねーんだ。分かったか?」
「「「はいーっ?!」」」
オレの言葉に、モーツァだけでなく、ゴドウェン支部長と、成り行きを静観していたエリーまでもが、間抜けな声を上げて驚いた。ちなみに、ターミは“魔導道具技師レオナルド”が如何にスゴいかは知らないようで、ポカンとしていた。そういや、魔導道具『スケサン』の話をしていたときも“魔導道具技師レオナルド”には彼女は無反応だったな……。閑話休題。
「……ラ、ラ、ラクル殿──」
「──『コイツ』は絶対に誰にも譲らん!」
オレは機先を制してゴドウェン支部長の言葉を突っぱねる。そして、驚き唖然となっているモーツァに対して改めて告げる。
「『この本』は禁忌の代物だ。しかも、知り合いに頼んで、“オレ以外が『この本』を開いたら『記憶消去の呪術』が発動する”ようにしてもらっている。“自分が誰であったかも忘れたくねーだろ?” 分かったなら、もうそのギラついた目はやめてくれ。」
そう締め括り、オレは『レオナルドの魔導道具総目録』をかばんの中へ収める。
「……じゃ、……じゃあ、『お爺ちゃんの魔導書』は、どこなんだよ?!」
……はぁ~、まだ諦めないか……。
オレはしつこいモーツァに辟易しながらも、再び、かばんの中から音の賢者の『ヴァンの書』を取り出して、頁を開いて彼女に見せる。
「ほら、ちゃんと両頁に色々と書かれてるだろ」
「は? 何言ってるの? 何にも書かれてない白紙のページを見せて」
「いやいや、ちゃんと、論文やら呪文が書いてあるじゃないか」
「……“無い”けど?」
……平行線。これじゃ、拉致が明かないな。いったい、どうすりゃ……──ああ!
オレは自分の閃きに、早速、それを行動に移す。それは、『本』に書かれている内容を読み上げ──呪文を詠唱して、ちゃんと発動することを示せば、“「──白紙──」と言い張る”モーツァも納得するだろう。
オレは開いてある頁に記載されている呪文を詠唱し、
「寂音箱」
魔術名を唱える。この呪文は“インスタント結界──術者による維持管理が必要はないが、持続時間は長くとも十分間程度と短い”代物だ。そして、呪文の効果は“結界の外側と内側の音の伝播を遮断”する。
オレを中心点に展開した立方体の結界が部屋の壁際まで、一気に拡大。
「──……ウソッ!? この魔術は、“お爺ちゃんが開発した”遮音結界?!」
モーツァの驚きっぷりに、オレは満面になり、
「どうだ? オレは『この本』に書かれていた呪文を詠み上げただけだぜ。」
彼女の鼻を明かしたことに満足。
「──……マジ!? 結界系の魔術って、それなりに高等なのに……」
「…………」
しかし、反応したのはモーツァではなく、エリーだった。更に、ゴドウェン支部長も無言ではあるが、何やら眉間に皺を寄せて考え込んでいた。
はてさて、なんでエリーが驚いたのかは分からんが、モーツァの鼻を明かせたことに満足したオレは手に持った『ヴァンの書』をかばんの中に戻す。そして、体を回れ右して、ゴドウェン支部長の方を向き、
「──ラクル殿。貴殿は、賢者様の『書』を読めるのかい?」
改めて、お暇の挨拶をと口開いたところへ、ゴドウェン支部長からの“よく分からん質問”が飛んできた。
ゴドウェン支部長からの質問にどう回答するか、一瞬悩んだがここは素直に答えておこう。
「ああ、普通に読めるぜ」
「……!?」
オレの肯定という回答に、何故かゴドウェン支部長は驚愕していた。そして──、




