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 奴隷商の館から町の大通りに移動したオレたちはテキトーに目についたカフェで小休憩。

 ターミには大通りに移動する合間に、オレらの現在の大まかな状況と“届け物の依頼を受けている”旨とその目的地等を話しておいた。

 昼にはまだ早い時間帯。

 小洒落たカフェの店内の客足は疎らで、小休憩には実に丁度よい。

 カチャリ。

 オレは粉ミルクと角砂糖をたっぷりブチ込んだ珈琲を飲み干し、ソーサーの上に空のカップを戻す。

「さて、オレらは今日中に隣の町──できれば、その先の町にまで行ければと思っている。なので、──」

 今後の方針と共にドンとテーブルの上に金の入った皮袋を置き、

「エリー、こいつでターミの旅装束と旅の必需品を買い揃えてやってくれ。」

 エリーにターミの世話を任せる。なにしろ、ターミはエリーの初めての弟子だ。弟子の面倒を見るのは師匠の務めというのが道理だ。ま、「奴隷の所有者が奴隷の面倒を見るのが道理でしょ」と返されることもあるかもしれないので、口には出さないがな。

「……へぇー、お兄ちゃん、太っ腹!」

 皮袋の中身を覗いて、オレを一瞥するエリー。それに対して、オレは、

「当たり前だろ。奴隷っつても、人の生命(いのち)を預かってんだ。それに、新たな旅の道連れになってくれた上にエリーの弟子にもなってくれたんだ。それに対する歓迎のご祝儀と礼みたいなもんだ。」

 そう言い放ったオレは、ふとターミの方に視線を動かすと彼女は、オレの視線を受けてか俯いていた。

 ──……やっぱ、嫌われてる?

「ターミちゃん、このお金でいい装備を調えましょうね♪」

「……あ、はい、師匠。」

 エリーの言葉に俯いたままだが、嬉しそうな声音で応答するターミ。

「あんまり無駄遣いするなよ。その金の中にターミの今月分の小遣いも入れてあるんだからな」

 既に想像上でターミの旅装束姿を妄想しているエリーに釘を刺しておくオレ。

「そうなの? 分かったわ」

 エリーのその返事を聞いたオレは、

「んじゃ、出発の準備に取り掛かる────」


「──待ちなさいよ!!」


 席から立とうとしたところで、いままでスルーしていた金髪女が割り込んできた。

 金髪女こと──プエッラ・プロテルワは、実に喧しかった。奴隷商の館から町の大通りに出るまでの間、この女はガミガミやいのやいのと口を開けば罵詈雑言の嵐。オレも、エリーも、そして、ターミまでもが、この女の罵詈雑言に対するスルースキルを速攻で体得したからな。

 割って入ってきた以上は、無視するのもひと苦労するかもなので、渋々ながらに応答してやる。

「……なんだ? なんか用か?」

「わたくしの分!」

 そう言って、不遜な態度で手の平を見せてくるプエッラ。この女の仕草が何を意味してるかは判ってはいるが、敢えて小馬鹿にしてやる。

「は? なにが? ってか、お前の生命線短けーな」

「違いますわ! わたくしの分の支度金ですわよっ!」

 「……何で、オレがお前なんかの────」と喉元まで出かかったが、出る前にその言葉を呑み込み、やれやれと肩を竦めてから、

「仕方ねーな。ほれ」

 懐からターミの小遣い込みの支度金よりも中身が少ない皮袋を取り出し、プエッラに投げ渡す。

 それを受け取ったプエッラは皮袋の軽さに不満顔を隠すことなく如実にしていた。

 まったく……、身支度金をくれやっただけ、ありがたく思ってほしいものだぜ。

「んじゃ、改めて、出発の準備に取り掛かるか。」

 オレはテーブルの上に全員分のカフェ代を置き、カフェを出る。

「買い物が終わったら町の西門前に集合な。」

 オレはエリーたち女子にそう言い残して、一人別行動させてもらう。




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