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銀と赤と

雨が降っていた。

見た目より軽い籠手を抱え、僕は歩いていた。

旅に出ます。そう告げた時に、師に渡されたものだった。

『君の旅路に、幸多からんことを』

その言葉を胸に、僕は歩き出した。


顔を叩く雨粒も──

足を取る水たまりも──

何も、気にならない。


世界は灰色だった。


知らず、涙が溢れていた。けれど、僕の喉は嗚咽さえ漏らさない。

その事実が、雨よりも冷たい。


ふと、路地に座り込む人影が目に入った。

所在なさげに座り込む少女。

その銀髪は世界で唯一、色を持っているようだった。

「大丈夫?」

慣れない声珠(せいしゅ)から音を出す。

自分が大丈夫じゃないのに。

僕を見上げた瞳。

その赤が、綺麗だと思った。

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