国王との謁見 / 冒険者組合へ / 初の兵器召喚
皇女殿下の馬車は、今王城につながる道路を走行している。
「いきなり…国王陛下に謁見していいんですか?」
「問題ないと思いますよ」
「そうですか…」
そして、しばらくすると巨大な城が目に入ってきた。
「あれが、私の住んでいる城です」
(デカい…)
(おっきい…)
「大きいですね…」
「そんなに大きいですか? 確かに、周りの建物に比べたら大きいですけど」
(あっ、でも都心の超高層ビルに比べたら小さいか…)
「さぁ、大門につきましたよ」
「あっ…はい…」
「もう少ししたら王宮の入り口につきますからね」
「その後は、謁見の間に行かなければいけませんか?」
「その前に、武器を預けなければいけませんけどね」
「この武器は、預けられませんのでしまいますね」
そして俺たちは、銃を消した。銃を消した瞬間皇女殿下は驚いていた。
「どうやって消したのですか?」
またもや俺は、里奈先輩に助けを乞うた。小声で後から蹴らせてと言われたが気にしない。
「私たちは、物を召喚することができるのです」
「召喚…ですか…。あなたたちは勇者なのですか?」
(勇者か…)
(たぶん違うね)
「俺たちは、勇者ではありません。ただの旅人ですよ。それに召喚については内緒にしてくださいね」
「わ、わかりました…」
(よっしゃ…姫様黙らしたぜ)
「…では、つきましたので降りましょう」
宮殿の入り口には執事と使用人が待機していた。
(執事がいる)
(本物のお姫様なんだ…ミラノさんって…)
「姫様、お帰りなさいませ」
『おかえりなさいませ』
「ただいま戻りました」
「姫さま、その者たちはどうされたのですか?」
「私の馬車をゴブリンたちが襲っている時に助けてもらった方々よ」
「さ、左様でございますか…。姫様をお助けいただき誠にありがとうございます」
そういって執事は、俺たちに頭を下げた。
「こ、こちらこそ…皇女殿下には王都まで案内をしていただきましたので…」
そこまで言いかけたところで、皇女殿下が口を開いた。
「そろそろ父上のところに行きましょうか」
「え…あ、そうですね」
「さて、行きましょうか」
皇女殿下は、俺たちを連れて王宮に入った。
そして今俺たちは、国王のいる謁見の間の扉の前に来ている。
「あの…皇女殿下?」
「どうかしましたか?」
「俺たちは、この服装で問題ないのでしょうか?」
「大丈夫だと思いますよ。あ、兜は外してくださいね」
(あ…ヘルメット忘れてた…)
俺たちは、ヘルメットを外し心を落ち着かせる。
「入りますよ」
そういって、皇女殿下は謁見の間のドアをノックした。
「ミラか…入ってよいぞ」
(国王声低いな…)
「失礼します」
俺たちも、皇女殿下に続いて入る。
「国王陛下…ただいま戻りました。」
「よくぞ、無事に戻ってくれた。怪我はしていないようだな…」
「はい、なんとか無事に戻ることができました」
「それで、後ろにいる者たちは誰かな?」
「紹介します。この二人は私を助け出した者です」
「そうか…ミラが無事に戻ってこれたのはそなたらのおかげか…。娘を助けてくれてありがとう」
(すごい優しそうな人やな…)
「いえ、私たちは出来ることしただけです」
「それで…名前を教えてくれるか?」
「はい…神山 時雨と申します」
「私は、長谷川 里奈です」
「シグレ君とリナさんか。君たちはこれからどうするのだ?」
「私たちは、これから冒険者組合に向かいます」
「冒険者になるのか…」
「はい。王都には、冒険者になるために来ました」
「そうか…では、君たちのこれからの武運長久を祈ろう」
そういって国王は、胸の前に手を当てて数秒間祈った。
『ありがとうございます』
「娘を助けてくれて本当にありがとう」
(親バカなのか…)
「それでは、失礼いたします」
俺たちはそう言って謁見の間を出た。そして、宮殿の玄関のような場所までメイドさんに案内してもらった。
「さてと、冒険者組合に行こうか」
「そうだね」
「なんか車だす?」
「怪しまれるんじゃないの…」
「確かにそうかも…」
「とりあえず歩こうよ」
「ギルドこの道を行った先か…」
俺は、スマホのマップで冒険者組合の位置を探した。やっとGPSらしきものが、役に立った瞬間である。少し歩くと冒険者組合に着いた。
「ここか…。里奈は俺の手を離さないで」
「うん…」
そして俺たちは、冒険者組合の扉を開けた。やはり、ギルド内は屈強な男たちが大半を占めていた。
「よぉ、ねぇちゃんこんな場所に何の用だい?」
冒険者の一人が声をかける。それに続いて、他の冒険者も里奈に声をかけようとしていた。
「そんな坊主ほっといて、俺たちと遊ばないかい?」
(テンプレだな…黙らすか…)
そういって俺は、USPを入れているホルスターに手をかけて、念のためセーフティを外しておく。
「おい坊主、その女を俺たちによこせ…」
「あんたらにあげる理由はないぜ…」
「てめぇ…よく見たら武器を持ってねぇじゃねぇか…。そんなのでどうやって彼女を守るんだよ?」
「武器ならあるけど…?」
USPを片手で構えながら、里奈を抱き寄せる。
「そんな棒でなにができるんだよ」
「そうだそうだ」
冒険者達が野次を飛ばす。
「そうか…銃を知らないもんな…。こいつは、お前の肉と内臓を一瞬で食い破ることができるんだけどな」
「嘘をつくんじゃねぇよ…」
「わかってもらえないようだな…」
その瞬間、ホールに声が響いた。
「ジアン…ギルド内で問題を起こさないでくれ。君もだ、今すぐその武器をしまいなさい」
「ちっ…ギルドマスターか。邪魔しないでくれよ」
「いい加減にしてくれ…ジアン」
(とりあえず…しまうか…)
俺はUSPにセーフティをかけ直して、ホルスターにしまう。ギルドマスターとやらが出てきたので冒険者達は、それぞれ自分たちが座っていたイスに戻っていった。
「それで君たちは、冒険者登録をしに来たのかい?」
「そうです」
(それ以外に何をしに来るんだよ…)
「そうか…なら、ここのカウンターで登録ができるよ」
「ありがとうございます」
「分からないことがあったらカウンターの人に聞いてね」
そう言って、ギルドマスターとやらは、自分の執務室に戻っていった。そして俺たちも、その示されたカウンターへ向かった。
「冒険者登録をしたいのですが」
「お二人様ですね。では、最初に登録料として銀貨8枚を払ってください」
(一人銀貨4枚か…)
俺は、戦闘服のポケットの中から銀貨を8枚出して、女性の職員に手渡す。
「はい。確かに、銀貨8枚ですね。では、この書類に必要事項を記入してください」
「どこで書けばいいですか?」
「ここで構いませんよ?」
「そうですか」
そして俺たちは、書類に名前などを記入していく。書き終わると、その書類を受け付けの女性職員に渡す。
「では、最後にこの水晶に手をかざしてください。これで読み取った情報をもとに、確認証を作りますので完成したら呼びますね」
「はい」
そして俺たちは、王宮に入る前に消したM4A1とMP5A1を出して、それぞれスリングベルトで体にかける。そのとき丁度、受付の職員から名前を呼ばれてカウンターに戻った。
「はい、できました。これが確認証となりますので失くさないようにしてくださいね」
「失くした場合はどうすれば?」
「すぐに、ギルドに来てくださいね。再発行致しますので」
「わかりました」
俺たちが、受け取った確認証は、木でできているドッグタグだった。
「ランクのことを説明していませんでしたね。ランクF、E、D、C、B、A、S、SSの順番ですので、ランクが上がるごとに確認証の材質が変わります。最初は木材ですが、SSでは、オリハルコンとなります」
(オリハルコンとかあるんだな…)
「昇格試験はいつでも受けることができますか?」
「はい。いつでも受けることができますよ。ほかに何か聞きたいことはありますか?」
「パーティを組みたい場合はどうすれば?」
「パーティを組む場合はここでできますよ。登録しますか?」
「はい、します」
「では、この書類にそれぞれの名前とパーティ名を記入してください」
(さて、名前はどうしようか…)
「里奈…名前どうする?」
「え…こんなのどう? Guns&Gunsなんて」
「いいね…それ」
「決定するの早いですね…。では、Guns&Gunsでよろしいでしょうか?」
「はい、それで大丈夫です」
「わかりました。では、これでパーティ成立ですね。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「それでは、頑張ってくださいね」
そして俺たちは、ギルドを出て今夜止まる宿を探した。すぐに宿は見つかった。
「ここに泊まろうか」
「歩きすぎて疲れたよ…」
「よく頑張ったね」
宿に入っていき、受付のカウンターに向かった。
「すいません。この宿に4日間ほど泊まりたいんですけど」
「いらっしゃいませ。お部屋はどうします?一部屋でよろしいですか?」
「一部屋で構いませんよ」
「わかりました。では、4日間で金貨1枚と銀貨2枚になります。朝食と夕食の時間は部屋にお知らせに行きますね。顔を洗うお湯はどうしますか?」
「お願いします」
「わかりました。これが、お部屋の鍵になります。戸締りはキチンとしてくださいね。では、ゆっくりとお過ごしください」
「ありがとうございます。あ、でも…今日の夕飯は要りませんので」
「外で食べてくるんですね。わかりました」
「それでは」
(208号室か…)
「部屋に行こう…里奈」
「うん!」
指定された部屋に着き、鍵を開け中に入る。
(広いし…クイーンサイズのベッドかよ…)
(嘘…クイーンサイズのベッド一つじゃん…恥ずかしいかも…)
「い、意外と綺麗だね…」
「そ、そうだね」
実を言うと、俺たちはまだ一緒に寝たことはない。だって健全な高校生だったから。
「よ、よし…とりあえずまた外に行こう…。ちょっと人目のつかないの場所で何か出そうか」
「…うん…そうしたほうがいいかもね…」
とりあえず、俺たちはカウンターの受付の人に外に出てきますと言って外に出た。
「車だそうか…」
「ここで出すの?」
「歩くの疲れるでしょ? それに大通りに出なくても、宿の脇の道を通れば草原に行けるみたいだからさ」
「じゃあ、何出す?」
「車出して」
「なんか乗りたい車ある?」
「スズキのジムニー出してほしいかな」
「分かった。だすね」
里奈が自分のスマホでジムニーを選択すると、俺たちの目の前が光で覆われる。光が収まると道路の上には、青と銀のツートンカラーのジムニーが止まっていた。
「はい…これ鍵ね」
「運転は俺がするのね…」
「当たり前でしょ?車出してって言ったのは、時雨なんだからね」
(まぁ…いいか)
そして俺達は、ドアを開けて乗り込む。鍵を差して回す。ジムニーのエンジンがかかる。俺は、ブレーキを踏みながらシフトをDレンジに入れ、アクセルを踏む。ジムニーが動き出す。そのまま、アクセルを少し踏み込んで速度を上げる。脇道だからか、あまり歩いている人はいなかったので、スムーズに走ることができた。途中出会った人は、ジムニーをただ茫然と見ていた。
(そりゃそうだろうな…馬車しかない世界に車が走ってるんだから。。。)
10分ほど走ると広い草原に出た。
「着いたかな…。里奈着いたよ。里奈?」
里奈は、助手席ですやすやと寝息をたてていた。
「寝るの早いな…」
そういって俺は、先輩の頭を撫でた。
「いきなり異世界に来たから仕方ないかな…」
俺は、先輩をそのままにして、ジムニーから降りた。すると電話が掛かってきた。
「もしもし、神様ですか?」
「もしもし、そうだよ。いきなり、ジムニー召喚するとは思わなかったよ」
神様はスマホの向こうで笑っていた。
「問題ありますか?」
「いや、特にないよ。それで…どうそっちは…」
「大変ですね…。ただそれだけです…」
「平和な世界にいた君たちからしたら、信じられない世界だもんね」
「それで、何か伝えたいことあるんじゃないですか?」
「お、よくわかったね」
「でしょうね。だって、まだ説明されてないことありますからね」
「そうだね…その説明をしよう。まず、君たちには、マジックバッグを持たせているよ。」
「そのバッグは収納量が無限なんですか?」
「無限だよ。しかも、時間停止魔法が掛けられているから食べ物とかが、腐ることはないよ」
「便利ですね。」
「便利だよ。後は、弾丸についてかな」
「撃った後の薬莢は…そういえば消えてましたね…」
「ああ…薬莢は消えるようになってるよ。あんまり技術を残したくないからね…」
「弾薬は無限なんですか?」
「そうだよ。それとも今から、ポイント制にする?」
「今のままで結構です」
「僕の話は、これで終わりだよ。それじゃあ頑張ってね」
「あ…お金ありがとうございました」
「それくらいどうってことないよ。じゃあ、また掛けるね」
「はい」
ブチっ…ツーツーツー
(弾薬無限か…)
「よしそろそろ、兵器をだそうかな…まだ夜になるまで時間があるから…」
俺は、スマホをいじってヘリコプターの欄を見た。
「ドラゴンが飛んできたときのために…攻撃できる奴がいいな…AH-64D アパッチ・ロングボウでいいな」
そういって、アパッチを召喚する。
「本物やなー」
(さて…先輩を起こすかな…」
ジムニーに歩いていき、助手席の窓ガラスを何回か叩く。
「…ん…時雨?」
「起きたね。眠気覚ましに空を飛ぼうか」
「…空を?」
「うん…ヘリを出したからね。さ、降りてね。ジムニーを消すからさ」
「わかったよ。降りるね」
(よし着替えよう…)
「フライトスーツに着替えようか」
そういって、フライトスーツを召喚する。戦闘服を着た時と同じ光が二人の体を包む。
「着替え完了。さて、搭乗しようか」
俺は、アパッチの後席に座り、里奈先輩は前席の射撃手の席についた。そこから、バッテリーやスタートに必要なスイッチをすべてONにし、エンジンのスタートスイッチを押す。スターターが回り始め、エンジンコンプレッサが駆動し、空気を圧縮していく。規定の回転数になったら、燃料スロットルを必要な分だけ開ける。エンジンの自立回転速度に達したらエンジンスタートスイッチを放し、スターターが止まる。辺りにGE製のT700-GE-701C ターボシャフトエンジンの音が響き始める。スロットルを開けてAH-64Dは上昇していく。高度700mくらいまで、上昇したらサイクリック ・スティックを前方に傾けてアパッチを前進させていく。
「里奈…俺の声が聞こえるかい?」
「聞こえるよ」
「そっか…どうだい?初めて戦闘ヘリに乗って空を飛んでいる気分は」
「なんか…よくわかんないかな…」
「まぁ…仕方ないかな」
右足でラダーペダルを踏みながら、スティックを右方向に倒していく。
(俺…アパッチを飛ばしてるんだ…)
異世界の空に初めて航空機が飛んだのであった…
もう5話なんですね…。さて、今回はいかがだったでしょうか?ギルドでの出来事はもうテンプレですね笑
やっと、ヘリが出せましたよ…長かったですね
次話からクエストに挑戦していきますよ