豪炎龍討伐 / 恋人どうしの夜
王都にある、森の上空を飛行していると、AN/APG-78ロングボウレーダーが何かの機影を映した。
「時雨…今レーダーに何か映ったよ。二時の方向…距離約6000。」
「だいぶ近いね…後数分で会敵するかもしれないな。里奈、アパッチの武装は?」
「えっと…M230 30mmチェーンガンが1000発とAIM-92 スティンガーが4発、ハイドラ70 70mmロケットランチャーが2基で、合計38発かな…」
「普通のドラゴンだったら、何とかなるな…」
「攻撃するの?」
「相手が攻撃を加えてきたらね」
そうこうしている間に、敵機影がさらに近づいてきた。
「何だよ…この化け物は…」
そいつは、全長約80mほどの巨大なドラゴンだった。
「っ…敵の進路から外れるぞ」
俺は、スティックを後方に傾けながら、左足のラダーペダルを踏んでドラゴンから距離を開けた。
そうして、ドラゴンが通り過ぎて行くのを待った。
「ドラゴンは気づいていないか? それとも何もしてこないなら、問題ないと判断したのか…」
「とりあえず…降りてギルドに報告しようよ」
「そうだな…危険だが…このままギルドの付近まで行くか」
見られるかもしれないと思いながらも、俺はギルドまで直接飛んでいくことを決めた。
T700-GE-701C ターボシャフトエンジンが甲高く唸り出す。
「最高速度を出すか…」
コレクティブ・レバーを操作して、エンジン出力を上げて機体を前方に傾ける。
「現在速度270km/h…。後数分でギルドに着くな」
「どこに降りるの?」
「ギルドの前に巨大なロータリーみたいなところがあったでしょ? そこに降りるよ」
「降りれるかなぁ…」
そして、ギルドの目の前のロータリーの上空に到達する。
「里奈、ロータリーに人はいる?」
「ううん…中心部にはいないよ」
「そうか、降りるぞ」
機体を高度200mくらいまで下降させ、ホバリング状態にする。着陸地点の近くでは、人々がアパッチを驚愕の目で見つめていた。下に人がいないことを確認して、俺はアパッチをゆっくりと降下させていく。
「よし、着陸成功と…」
「早く降りようよ」
「そうだな…」
素早くエンジンのスイッチを切り、キャノピーを開けて降りる。里奈が降りたことを確認して、機体を消した。アパッチが突然消えたことに周りにいた人々は驚くが、それよりも中に人が乗っているなど思ってもみなかったようで、俺たちが降りてきたことに腰を抜かしてしまう人もいた。
「ヘルメットどうする?」
里奈は聞いてきたが、俺が外してそのまま持っていることを確認すると、自分のヘルメットを抱き抱えた。
冒険者ギルドの扉を開け、受付の人にドラゴンが出たことを話す。
「すいません」
「どうかしましたか?」
「この王都に、ドラゴンが向かってきてます」
そういって、飛行中に里奈に預けていた一眼レフカメラのディスプレイを見せる。
「これは、すごく精緻な絵ですね…って、これ豪炎龍じゃないですか!」
「豪炎龍と言うんですね…」
「これをどこで見つけたんですか?」
「王都郊外の空の上です」
「空の上? ワイバーンでも所有しているんですか?」
「いや、ワイバーンは所有していませんよ」
「と、とりあえず…ギルドマスターに報告してきますので、少々お待ちください」
(さて…なんて言われるかな…)
「おい坊主…お前は、豪炎龍から逃げ切れたのか?」
いつのまにか俺の隣には、昼間里奈に手を出そうとしたジアンなる冒険者がいた。
「あぁ…なんとかな…」
「そうか…」
「豪炎龍はどうするんだ?」
「基本的には、今現在ここにいる冒険者が対処することになっているが…」
「が…?」
「たぶん…ここに入る全員が死ぬことになるだろうな…」
「高ランク者はいないのか?」
「今は、最高でBランクの奴しかいねぇよ。Aランクより上の奴は、新しく見つかったダンジョンの攻略中だ」
「……」
(ヤバい状況だな…)
すると、ギルドマスターが勢いよく執務室から飛び出してきた。
「君かい? 豪炎龍を見つけたのは?」
「そうです」
「そうか…」
「なぁ…ギルドマスターよどうするんだ?」
俺の隣にいたジアンは、ギルドマスターに話しかけた
「ジアンか…。 非常事態宣言をだすしかないだろうな…」
「あれを倒すことは可能なんですか?」
「おい…坊主…悪いことは言わねぇ…今すぐ逃げた方がいいぞ…」
「確かに…倒すことは可能かもしれないが…今は、高ランク者がいない状況だ…」
「なら…やりますよ…」
「しかしだな…。君は、今日冒険者になったばかりだろう?」
「俺には…龍を殺せる武器があります」
「そんなものを持っているのかい?」
ギルドマスターを含め…周りにいた冒険者は俺の話を聞いて、全員が目を見開いた。
「ええ、持ってますよ。なんなら豪炎龍を殺してみせますよ」
「そうか…わかった。だが、どうするんだ?」
「俺たちが、空中で豪炎龍の相手をします」
ジアンは、俺の隣で言葉を失っていた。ほかの冒険者もだ。
「空を…飛べるのかい?」
「はい…」
「よし…豪炎龍討伐の依頼を受けるかい?」
「受けますよ」
「報酬は、倒した後に決めさせてもらう」
「それで構いません。それと、豪炎龍と戦闘をしている際に、人が立ち入らないようにしてもらいたんですけど」
「ふむ…何をするのかな?」
「撃ち落とした豪炎龍に大規模爆裂魔法のようなものを使います。ですから…最低でも半径1㎞は立ち入り禁止区域にしてください」
「わかった。今すぐ騎士団に連絡してもらう」
「ありがとうございます」
「頑張ってくれ…」
「里奈行くよ」
「うん…」
ギルドを出ると俺は、陸上自衛隊の軽装甲機動車(通称;LAV)を召喚し、乗り込んだ。行き先は王都郊外の平原だ。エンジンをかけ、運転席右端の操作パネル部分にあるボタン式のATスイッチをいじる。
「よし…飛ばすよ」
王都の中心を走っている道路は、ギルドから連絡が入った騎士団によって、住民に対して屋内への避難指示が出ているため、今は閑散としている。しばらく走ると、王都郊外の草原に着き、LAVを降りる。
「99式155mmりゅう弾砲を1中隊だすか…」
俺は、スマホの画面をスクロールして、99式155㎜りゅう弾砲を選択し1中隊召喚する。
「自分は、陸上自衛隊第2特科連隊所属青柳2等陸尉であります」
青柳2尉は、俺に対して敬礼した。俺もすかさず答礼する。
「総司令官どの、状況は?」
「総司令官ですか…。状況は、現在豪炎龍なるドラゴンが王都を襲おうとしている。そのため、まずAH-64Dの30mmチェーンガンとスティンガーミサイルによって、ドラゴンを地面にたたき落とす。叩き落としたら、155mmりゅう弾砲にて目標に砲撃して欲しい。座標はアパッチからGPSで送信する」
「了解しました。爆発効果半径に民間人は入っては来ませんか?」
「その点については問題ない。思う存分射撃をしてほしい」
「了解」
そういって、青柳2尉は敬礼し、自分が車長を務める99式155mmりゅう弾砲に搭乗した。
「よし…里奈大丈夫?」
「うん…大丈夫だよ」
「そっか…アパッチに乗るよ」
「了解」
俺たちは、そう言ってアパッチに搭乗し、以前乗った時と同じようにボタンやスロットルをいじる。
そして、離陸可能回転数に達するとコレクティブ・レバーを操作し機体を上昇させ、ドラゴンのいる空域へと飛ぶ。
「レーダーに感あり。10時の方向…距離2000」
「了解。ATAS(Air to Air Stinger)のシーカーをドラゴンへ向けロックオンができ次第攻撃開始」
「ドラゴンにロックオン…ATAS Fox2…」
2基のATASがドラゴンに向かって、マッハ2.2で飛んでいく。そして、ミサイルはドラゴンの胴体と頭に着弾する。
「着弾を確認」
煙が晴れる。ドラゴンはATASによって片目を潰された。
「よし…片目を潰したか…。残りのATASも状況に応じて発射せよ」
「了解。ロックオン…Fox2」
今度の2発はそれぞれ、左右の翼に当たる。
「動きが鈍くなったな…そろそろ落ちるか」
案の定ドラゴンは翼にミサイルが当たったことで、地面に落下した。
「よし…特科の出番だな」
そして俺は、特科へと座標を送るために、無線を繋いだ。
「第一中隊、こちら、アパッチ、感明どうか、オクレ」
『こちら、第一中隊、感明良好、オクレ』
「GPSの受信による弾幕射撃を乞う、弾種 りゅう弾、オクレ」
『了解、速やかに現空域より離脱せよ。オクレ』
「アパッチ、了、オワリ」
アパッチから、第一中隊に対して、GPSを使用しての弾幕射撃の要請が入る。
「よし、司令官から弾幕射撃の要請だ。撃ちまくるぞ」
「諸元入力完了」
「りゅう弾、撃ち方はじめぇ」
4両の99式155mmりゅう弾砲から轟音がとどろく。
「こちらアパッチ、弾着観測を行う。弾ちゃ~く 3・2・1 今!」
ドラゴンを叩き落とした地点に、大規模な爆発が起こる。
「同一諸元、効力射、オクレ」
『第一中隊、了、オワリ」
「よし、もう2、3回撃てるな…効力射、はじめぇ」
1回目の射撃地点に何回も、爆発が起こる。
「こちら、アパッチ、目標の死亡確認を行う。射撃を中止されたし、オクレ」
『第一中隊、了、オワリ』
「よし、ドラゴンの死亡確認を行う。30mmによる射撃を許可する」
「了解。30mm射撃開始」
周囲に30mmチェーンガンの射撃音が鳴り響く。ドラゴンはもう動かない。
「ドラゴンは完全に沈黙。繰り返す、ドラゴンは完全に沈黙した」
(そらそうだよな…スティンガー4発に榴弾を12発も喰らったからな…。でも、もう少し硬いと思ったんだけどな…)
「里奈終わったよ…」
「終わったね…」
「よし、第一中隊の場所まで戻ろうか」
「うん」
俺たちは、第一中隊の位置まで戻り、中隊の人たちにお礼を言って消した。アパッチも消去し、陸自のLAVを召喚する。
「さて、ギルドに戻ろうか」
「戻ったら、早く宿で休もうよ…。疲れたよ…」
「よく頑張ったね」
そう言いながら、俺は先輩の頭を撫でる。ちなみに、ドラゴンの死体は、首と頭が千切れており吐きそうになった…。LAVに乗り、冒険者組合へと戻る。
冒険者組合の玄関を開ける。
みな、目を見開いていた。ジアンとギルドマスターもだ。
「帰ってくるの早すぎないか?」
「ドラゴンは倒したのかい?」
「証拠を見せてみろ」
みんな一斉に話しかけてきたので、ひとこと言ってやった。
「ドラゴンは完全に沈黙させましたので、どうぞご安心ください。それと、ドラゴンの死体は王都郊外の草原に放置していますから、あとで回収部隊を出してもらえますか?」
そういって、ギルドマスターに、豪炎龍の鱗と牙を差し出す。この鱗と牙は、戦闘後にヘリから降りて拾ってきたものである。なかなか綺麗な状態の鱗と牙は少なかったが…。
「ふむ…本当に豪炎龍の鱗と牙だね。回収部隊はこれから出発させるよ。それで報酬だけど、どうするかい?」
「とりあえず、また明日来ますのでその時にお話ししましょう。」
「わかった。では、待っているよ」
『失礼します』
組合を出て、昼間取った宿へ歩いていく。数分歩くと宿へ着いた。俺はスマホを確認すると、ちょうど9時になったばかりであった。
(9時か…時間はあっちと同じなのかな)
宿のドアを開けると、さっき受付をしてもらった女将さんが立っていた。
「た、ただいま戻りました…」
「おかえりなさいませ」
俺たちは、足早に女将さんの前を通り抜けて部屋へと向かう。鍵を開けて、部屋に入ってドアを閉める。
「あぁ…疲れた…」
里奈先輩は、そう言って俺の頭を撫でてくれた。
「膝枕もする?」
「その前に着替えようよ…」
「そうだね。何着る?」
「ジャージでいいよぅ…」
里奈先輩は、スマホを操作して俺のジャージと自分が着るパジャマを出した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう…先輩…」
「あ…先輩ってまた呼んだね?」
「別にいいじゃないですかー」
「ダメだよ。ちゃんと、里奈って呼ばなきゃ」
「わかりましたよ…もう…」
「早く着替えれば膝枕してあげるよ」
「はぁい…って、先輩の前で着替えるんですか?」
「恋人同士だし、着替えるくらい問題ないと思うよ」
「いやまぁ…そうだけどさ…」
「なに? 時雨は、私の下着姿が見たくないの?」
「いや…見たいですけど…まだ…早くないですかね…」
「早くないよ。さぁ、早く着替えよ」
そう言って先輩は、器用に俺の戦闘服を脱がせてジャージを着せる。
「なんで、里奈が俺にジャージを着せるの?」
「え…嫌だった?」
「嫌じゃないですけど…じゃあ、俺も先輩を着替えさせるからね」
「いいよ…」
俺は、まず先輩の戦闘服の上着を脱がす。そしてTシャツも脱がせ、パジャマの上を着させていく。すべてのボタンを占めて、戦闘服のズボンのベルトに手をかける。
「ちょっと待って…時雨…」
先輩は、いつの間にか顔を紅く染めていた。
「下は、恥ずかしいよぉ…」
「あれ? 里奈は俺に下着を見せたくないの?」
「そういうわけじゃないけど…」
「じゃあ…大丈夫だね。脱がすからね」
「…うん…」
ベルトを緩めて外す。そして、ゆっくりとズボンを下ろしていく。先輩の白くて長い脚と可愛いショーツが目に入る。
(ヤバい…これは…ヤバい…)
先輩は、俺の手が脚に当たると、甘い声を出した。
「んっ…あんまり…脚に触らないでよ…」
「ごめんね…少し我慢してね。脚ちょっと上げてくれる?」
「…わかった…」
足を上げてもらい、パジャマの下を穿かせていく。不意に手が先輩のお尻に当たる。
(あ…やらかした…)
「ちょっと…手が当たったんだけど…」
「ごめん里奈…ほんとごめん」
俺は、先輩の前で手を合わせて謝る。
「ん…そんなに謝らなくてもいいよ…」
先輩は、そう言いながら自分でパジャマをずり上げていく。
「さてと、そろそろ寝ようか…時雨…」
「そうだね…今日は疲れたもんね…」
クイーンサイズのベッドに向かい合わせで横になる。ベッドは、170㎝の2人には、少しだけ狭いように感じた。
「おやすみ里奈」
「おやすみ…時雨」
さて、初クエストと初の人員召喚でしたが、どうだったでしょうか?
特科との無線通信は近い小説などを参考にしたつもりだったんですが、上手く描写することが出来ませんでした…
最後の宿でのシーンはちょっとしたサービスのつもりです。




