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62_ルーツィア・リーステラは嫌われ者

 

「意識して目を凝らすと、ほんの少しだけですけど……」


 そう、はっきり見えるわけではなくて、ぼんやりと分かる程度だった。


「それでもすごいな」


 セルヒ様は感心した様子で私を褒めてくれる。


「で、でも、セルヒ様たちも見えているんですよね?」


 褒められて嬉しくて、顔がにやけてしまうのを隠しきれないままにそう尋ねると、セルヒ様は教えてくれた。


「ああ。確かに俺達には見えているが、瘴気を視認するにはかなりの魔力量が必要になるんだ。魔力を視ることができるのはルーツィアの才能だが、瘴気の視認は才能があるだけでは無理だ。必ず魔力量に依存する」

「そうなんですか?」


(じゃあ、私は瘴気を見ることができる程度には魔力を持てているっていうこと?)


 それはすごく嬉しい!

 セルヒ様の説明を、へえ~!と興味深く聞いていた私は、その時セルヒ様が何か考え込んでいることには気づかなかった。


 森に近づくと、神官騎士様たちの姿が見えてきた。その周囲には何体かの魔物が地に伏せている。

 もうすでに討伐は進んでいるんだわ。


 だけど、これはBランクの魔物じゃなくて、もっと弱い、CランクやDランクの魔物たちだわ。

 頭の中で魔物に関する図鑑の記述がパラパラとめくられていく。

 魔塔のみんなが色んな知識を私に授けてくれたから、今この場の状況が理解できる。そのことに少しほっとしていた。


 私達はそのままゆっくりと降りていく。

 影が落ち、それに気づいた神官騎士様はこちらを見て目を丸くして驚いていた。


「はっ!?そ、空からだと!?」


 その声に、周囲にいた他の神官騎士様や神官様の視線も集まる。

 わわ!空から人が降りてきたらそうなりますよね……!神官騎士様たちの反応は納得だけれど……。


 驚きに動きが止まっていた神官騎士様の近くに、魔物が!

 それを見ていたオーランド様がすぐに対処しようと手を翳したけれど、魔法を放つ前に他の神官騎士様がその魔物を斬り捨てた。

 あの方は……以前お会いした、ギズリ様だわ。


「おい!集中を乱すな!魔物は他にもいるんだぞ!」

「す、すみません……!」


 ギズリ様は危なかった神官騎士様を怒鳴りつけると、こちらをギロリと睨みつける。


「お前たちもお前たちだ!この場がどれだけ危険か考えれば分かるだろう!助力は感謝するが、もう少し状況を考えるべきじゃないか」


 強い口調でそう言うと、ギズリ様は別の魔物を相手取るためにすぐに前を向き、去っていった。


「こればっかりは、僕らが完全に悪かったね。もう少し配慮するべきだった」

「普段魔法使いだけで対処することが多いから、空から行くことなんとも思ってなかったけど、あの神官騎士の言う通りだね……」


 オーランド様とノース様が素直に反省している中で、私はこの場の雰囲気に圧倒されていた。


 瘴気だまりから、どんどん魔物が湧いているようで、次々に魔物が現れている。

 この瘴気だまりは小さいって、さっきオーランド様はおっしゃっていたけど、それでもこんなに次々魔物が生まれ出てくるなんて……!!


 新しく生まれる魔物はそこまで強いものではなく、聖騎士様も一斬りで魔物を倒しているけれど、数が多いことであまり楽観視できる状況ではないのだと理解できた。

 それに、この場のどこかにBランクの魔物も潜んでいるわけで。


 だから、セルヒ様達にも討伐依頼が来たんだわと改めて納得する。


「ルーツィア。いずれ、君も討伐に参加するようになるならば、今回この場に来たのはとてもいい判断だったかもね。小さめの瘴気だまりで経験を積むのは悪くない。セルヒが君に危険がないように気にはしているだろうけれど、君自身も自分の身を守ることはできるね?」

「……はい!」


 私に出来ないのは、攻撃魔法だけで、訓練を重ねてできることは増えてきている。

 たとえば、光魔法を壁の様に広げて、自分の守る見えない盾のようにしたり、向かってくる魔法を、相性のいい属性の魔法で弾いたり。

 フワフワがいないから、この場で魔物を倒すことは出来ないけれど、オーランド様に確認されたとおり、自分の身を守ることくらいは十分にできるはずだわ。

 そう自信をもって、私はオーランド様の問いに力強く頷いた。


「じゃあルーツィア、俺達は行ってくる。君はここにいて安全を確保しながら、必要ならば神官騎士達のサポートをしてやってくれ」

「!は、はい!」


 セルヒ様の言葉に、思わず身が引き締まる。

 そっか、私にもできることがきっとあるし、ただ見ているだけではなくて行動することを許してもらえるんだ……!!

 セルヒ様の声はいつも私に話しかけるよりも少し大きくて、近くにいる神官騎士様たちにも聞こえるように言ったのだということもよく分かった。


 しかし、当然、神官騎士様たちが私を快く頼ってくれるわけではない。


「ハッ!誰がこんなやつを頼るって!?私達は誰もが知っている。その女、ルーツィア・リーステラが、我の聖女リゼット様を虐げ、傷つけ続けてきたことを!」


 飛んできたそんな言葉にドキリとした。


 ……聖教会と魔塔は相いれない関係だとは聞いていたから、私が簡単に受け入れてもらえることはないだろうと分かっていたけれど。

 魔塔どころか、私自身が思っていた以上にとっても嫌われているようです……。



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大好きな勘違い・すれ違い盛りだくさんのお話です!ぜひよろしくお願いします^^

【勘違い令嬢は魔術師になりたい~聖女になった義姉に全て奪われましたが、好都合です!~】
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