もうひとつのプロローグ side剱崎
勇者剱崎視点になります。
放課後、僕は窓枠に腰をかけて白峰建翔や他の取り巻きと駄弁っていた。
他にも教室の隅で話しているオタクたちや
姫宮さんや彼女の友達の西條さん、
無駄なのに彼女らを必死にカラオケに誘ってる滑稽な猿たちなど、20人程がまだ教室には残っていた。
そんな僕たちは全員、光に包まれた。
「な、なんだこれは!」
「ひ、光ってる」
「……魔方陣?」
目も開けられないほどの眩い光のなかフワリと体が浮く。
しばらくして、ゆっくりと目を開けるとそこは白い空間。
「ここは?」
「ここは神域です」
「神域?貴女は?」
目の前に居たのは絶世の美女。
どこか人間離れした雰囲気をもっていた。
「私の名前はラ・ハリエス、貴方がたからしたら異世界を統べる女神です」
「女神さまですか、僕に何の様でしょうか」
「貴方に1つお願いがあるのです、貴方はこれからクラスメイトと共に私のセカイに召還されます」
「クラスメイトと供にですか?見あたりませんが」
「ええ、貴方だけを私の神域にお呼びしました、私が干渉できる時間も限られていますから、他の方々も呼んで混乱されてはかないませんからね」
僕よりも圧倒的に知能が劣る彼らじゃ話が進まないか。
「それでお願いとは?」
「ええ、私のセカイを救って欲しいのです、勇者様」
それから女神さまに一通りの説明を受けた。
魔王のこと、ステータスと呼ばれる力のこと等。
やれやれどうやら僕はまた選ばれてしまったらしい。
僕は産まれながらに選ばれし者であった。
上流階級に産まれ、優れた容姿に高い知能に、運動神経。
全てを兼ね備えていた。
勉強も運動もなんでもそつなくこなせた。
そんな僕が勇者に選ばれるなんてね、当然といえば当然だけど、選ばれすぎるのも罪なものだね。
「それから、私から1つプレゼントです」
そう言って女神さまから渡されたのは闇色に煌めく小さな欠片。
「これは?」
「これは【夜の欠片】、そうですね、使い方はいずれわかるでしょう、きっと貴方の助けになります」
「そうですか、ありがとうございます」
「それでは、いずれまた会いましょう、私の勇者よ」
落下する。
そのまま浮遊感に身を委ねた。
ストンと着地する感覚。
目を開ける。
赤く光る魔方陣の中から辺りを見渡す、大理石の床に、白い壁、正面には大きな玉座、玉座へとつづく赤い絨毯に、その脇にずらりと並ぶ貴族だろうか?高そうな服をきた人達と、白銀の甲冑に身を包んだ騎士たち。
魔方陣の赤い光がゆっくりと消えていって……
「やりました、成功ですぞ、王よ!」
ざわざわとする貴族たち。
それにつられるように、呆然としていた僕のクラスメイトも今の出来事を実感しざわつく。
「なんなんだ、これは!急に光に包まれて、」
「ここどこよ!」
「やだぁ」
「静まれ」「静かに」
僕は言葉を発した。
僕と一緒に言葉を発した人物がいたことに驚いたが、なるほどあれが国王か。
王の言葉に貴族たちが、僕の言葉にクラスメイト達が冷静になる。
「アイリスよ、勇者様がたに説明を」
王が厳かに言うと、王の隣に控えていた、綺麗な女の子が僕たちの前に歩いてきて、祈るように手を組んで
「召喚に応じて下さりありがとうございます、勇者様方、どうか私たちをお救いくださいませ!」
「召喚?」
「勇者ってなんだ?」
再びざわつくクラスメイトたちを手で制して、僕は一歩前へでた。
「えーと、アイリス様?申し訳ありませんが勇者とはなんのことでしょうか?召喚とは一体」
知っているけど
「も、申し訳ありません!私ったら気がせいでしまって、ちゃんと説明をしていませんでした」
そう言って彼女は説明をしてくれた。
それによると、やはりあの玉座に座っている人は国王で、アイリスは王女様らしい。
この国はアルティミア王国、大陸の西の大国らしい。
なんでもこの世界には魔物がいて人を襲うらしい、そして魔物が人並みの知能を持ったものを魔族と呼び、人類と敵対している。
そして魔族を束ねるのが魔王。
魔王は強大でこのセカイの人々だけでは倒せないらしい。
300年前、魔王は異世界の勇者によって倒されたのだが、3年後に復活すると聖神教会に神託がくだったらしい。
復活する魔王に対抗するため各大国は勇者召喚を行ったのだ。
概ね、女神さまの言っていたことと一致しているな。
「事情は分かりました、このセカイの人々が困ってるんだ、そんなの見過ごせない、そして僕たちには救えるだけの力があるらしい、皆!魔王を倒してセカイを救おう!」
僕はクラスメイトに呼び掛けた。
「おう!やってやろうぜ!」
「ぐふふ、異世界転移キター!」
など皆概ね賛成のようだ。
僕に迎合する君たち、嫌いじゃないよ。
「ありがとうございます!!それでは早速皆様のステータスを見せて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ステータスとはなんですか?」
女神さまから説明を受けていたがあえて知らないふりをした。
「あっ、いけません私ったら、申し訳ありません、勇者様のセカイにはステータスがないのでしたね、ステータスとはその人のもつ力のことです、説明するより見てもらった方が早いですね、此方の石板に手のひらを当ててステータスオープンと唱えてください」
「わ、わかりました」
「ステータスオープン」
石板に手を触れ唱えた。
すると石板から空中に文字が投影されて、ステータスが表示された。
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剱崎光輝 レベル1
職業【勇者】
力 S
魔力A+
速さ S
魔法抵抗 S
物理耐性 A
スキル【言語理解】【空間収納レベル1】【聖剣召喚レベル1】【剣術レベル1】
【聖魔法レベル1】【身体強化レベル1】
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「すごい!これが勇者様のステータス!」
「ステータスオールA超えで、Sも3つも!」
「聖剣召喚まで!」
「え?え?どうしたのですか?僕、何かまずいことでも?」
「い、いえとんでもありません!これはスゴいことです!まずはそうですね、聖剣召喚を使ってみてください」
「そ、そんな事急に言われても使い方なんてわかりませんよ」
「いえ、スキルを持っているのですから使えるはずです、聖剣召喚を使うと思い浮かべてください、そうすると自然と使い方がわかるはずです」
「わかりました……我がもとへ来たれ!闇を切り裂け!【聖剣召喚】!」
すると僕の手のなかに光が集まっていき、一振りの剣が顕現した。
「なっ!?ホントに……これを僕が」
女神さまから説明を受けていたとはいえ目の前の事象を目にすると驚きと高揚が抑えられない。
「な、なんだあれ!すげぇ」
「う、うそ!」
「これがスキルです」
「お姫様!私たちにもできるんですか?」
「聖剣召喚はコーキのスキルです、皆様には皆様のスキルがあるはずですよ、ステータスを確認してみましょう」
「おし!じゃあ次は俺の番だ!」
僕と同じカースト上位グループで親友の健翔が手をあげて前に出た。
「はい、此方にどうぞ」
「おう!」
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白峰健翔 レベル1
職業【拳聖】
力 S
魔力 C+
速さ A
魔法抵抗 B+
物理耐性 A
スキル【言語理解】【空間収納レベル1】【拳術レベル1】【体術レベル1】【身体強化レベル1】【炎魔法レベル1】
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「こ、これは!」
「格闘系最上位職の拳聖!」
「すごすぎる!」
「へへ、どんなもんよっ」
「流石だね、健翔」
僕にはおよばないけど
「ま、勇者様には敵わないがな」
「改めて宜しく頼むよ」
わきまえてるじゃないか
「おうよ!」
僕たちは拳をコツンと合わせる。
友情の再確認だ、素晴らしいね。
「つ、次、私お願いします!」
「お、俺も!」
「僕も!」
そんな僕たちに触発されたように我先へと石板へと向かうクラスメイトたち。
「皆様、順番にお願いしますね」
その後、順番にステータスを確認していったが、僕を越えるものはいなかった。
当然だけどね。
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