表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AKIBAALIVE -overture-  作者: 一々葉(PSYCHOFRAME)
第2話 『アドベントソウル』
23/27

13 力と異形と

【view:unknown】




 今日、彼女は学校生活でとある議題を議論している中、そこに乱入してきた少年によって不愉快な気分にさせられていたが、帰りに遊んだゲームによって機嫌を持ち直していた。


 いや、正確にはゲーム内で話した人物のおかげと言える。


 彼女は気づいていなかったが、彼女の主張を見ず知らずの他人が肯定してくれたことが思った以上に彼女の心を軽くしていた。

 彼女は真面目であったが故に、潔癖なところがあったし、それは他人からウザいと思われることも多かった。


 そう思われていることに気がつかないほど彼女も鈍くはない。


 彼女の役職の関係上、面と向かってウザいと言う輩はいなかったが、そう思っている生徒がいるのは解っていた。


 そういえば、とふと彼女は思い出す。


 面と向かってハッキリと面倒だと言われたのは、記憶の限りでは初めてではなかっただろうか。


 今日の不機嫌の原因はハッキリとしていて、怒りの対象もわかりやすかった。


 だからだろうか。

 いつもと違ってジトっとした見えない敵と戦うかのような徒労感を感じていなかったのは。


 怒りはもちろんあった、不機嫌だったのも間違いない、疲労だって確かにあった。

 でもそれは決して嫌な感じではなかったのだ。


「そ、そんなわけないわよっ!!」


 彼女は、件の少年を思い出し、頭を振ってかき消す。


「不機嫌なのに嫌じゃないとかって意味わかんないわよ……」


 そんなことより、と彼女は自身の思考を切り替える。

 今日は彼女の主張が間違いでないという言葉も貰えた。

 それは彼女に1つの行動を起こさせるのに十分な力となる。



 私は、私の信じるところを行おう。



 彼女が向かう場所はこの前と同じく治安のいいとは言えない裏通り。

 そこにたむろしている不真面目な人種を視界に収め、彼女は笑う。


 彼女の信じることが出来る悦びを感じて。


「ようやく見つけた……」


 懐から1枚のカードを取り出す。

 以前、とある人物から貰ったカードであるのだが、このカードを触媒として彼女は力を手に入れた。


 そう、『力』だ。


 もう何も出来ないわけじゃない。

 何も出来なくて、苦しむことはない。


 前のときは『力』の使い方に慣れず、取り逃がしてしまったが、今度はきちんと消毒できるはず。


「さあ、世界の病原体を排除しましょう」


 価値のないものはあっても意味がない。

 役に立たないものはないものと同じ。

 害になるものはお掃除しなきゃ。



 きっとそれで世界は健康だ。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 暗がりで響くは肉が奏でる淫靡な音。



「――――――――――!!」



 柔肉がぶつかり、嬌声が上がる。



 彼女にとって何の感慨も覚えることはない。

 だが、それは普通の人が聞けば恐怖を覚える類の……絶望を感じさせる悲鳴だ。


 それも当たり前だろう。

 稼動限界を超えて曲がってはならない方向へ曲がっている腕や足。

 石臼にすりつぶされたかのように肉の厚みのない手足もある。


 痛みから恐怖から、男たちは涙を流し、嘔吐をし、涎を垂らし叫んでいる。


 しかし、彼女にとっては取るに足りないこと。

 これは正しい行いなのだから、彼等が何を言おうと叫ぼうと関係はない。



 骨が軋むほどに、肉をぶつけ合い。

 喚声をあげるほどに、肉をぶつけ合い。

 臭気が漂うほどに、肉をぶつけ合い。


 終わりなき饗宴のように。

 サバトの夜のように。

 聖者の聖誕祭のように。



 それは人でないものの謝肉祭。



 秋葉原の暗がりで。



 憐れな肉たちが。



 供された。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ