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AKIBAALIVE -overture-  作者: 一々葉(PSYCHOFRAME)
第2話 『アドベントソウル』
16/27

6 AAAとA能力と



「ここがAAAの部室か」


「みたいね」


 生徒会長からAAA部の場所を聞いた後、すぐに退出し、AAA部を目指した。

 迷うかとも思ったが、意外と簡単に見つかった。


「失礼します」


 ガラガラ。


「はいはーい。依頼だったら話を聞きますが、それ以外だったら回れ右して帰れぶたやろうー」


「いきなりそれはないだろう」


 ソファにだらしなく寝そべった鈴音がコチラを半眼で見ながら言ってきた。


 部室はいかにも鈴音が根城にしそうな混沌とした場所だった。

 どこから持ってきたのかよくわからないソファに麻雀卓。その周りに漫画に雑誌が散らばっている。

 廊下側の壁にはTVディスプレイもありその下に色々なゲーム機等々が鎮座ましましている。

 その隣には自販機も設置されており、ぱっと見ただけではよくわからないジュースやおでん缶が売られている。

 何に使うのかわからない旧時代の電話機や色々なオタク的コンテンツのポスターやらも部室の至る所に散りばめられている。


 はっきり言って何の部屋かわからない上にその情報量に面食らう……のだが、一番最初の鈴音のセリフに面食らった。


「おろ? 葦人君と凛ちゃん? どしたのですか?」


「桜井様とお嬢様ではないですか。一体このようなところまでどうされました?」


 当然のように真砂もいる。真砂は鈴音のことを姫様と呼び、凛音のことはお嬢様と呼ぶんだな。

 違いがわかりやすくていいとおもう。


「ここはAAA部でいいのか? 他の部員は?」


 他の部員が見当たらない。


「AAAは私たちだけですが」


「あー……」


 どうするか。

 相談するつもりだったがこいつらだけか……。


「もしかしてあのときの事件のことですか?」


「そのつもりだったんだが……。説明も省けるし丁度いいか」


 真砂ならば何か知ってるかもしれないし、相談するのは間違いじゃないだろう。


「AAAの噂を聞いてな。不可思議事件を解決してる伝説的な部活だということらしいが?」


「そう言う側面もあります。一応、AAA部の説明をしますと……」


 AAAとは秋葉原のトラブルシューター。

 何でも屋と言っても良いかもしれない。

 依頼を請け負い、その依頼をこなしていく。


 聞いた感じでは探偵の真似事かと思うが、依頼を遂行する過程で荒事があれば荒事にも対応する、という少々荒っぽい部活動でもある。


 どこかのご令嬢の身辺警護をやったこともあるらしい。鈴音繋がりかね。


 五年前は公式活動も盛んで、世間でもそれなりに名の通った部活だったらしいが、メンバーの1人が行方不明になってしまい、部活動は縮小。

 それでもAAAでその行方不明になったメンバーを待ち続けるため真砂だけが残り続けているという。今は人数不足により非公式活動を余儀なくされている。


「要は何でも屋ということか」


「変な部活ね。学生の領分を逸脱してるんじゃないかしら」


「栄枯盛衰ですねー。今じゃ、私の興味を満たす為の部活動みたいな」


「姫様……、依頼も受け付けておりますのでそういうわけでもありません。桜井様は依頼にきたのでしょうか?」


「依頼と言うか相談だ。あの事件についての考察とこれからの指針、そして対策について。AAAにああいったオカルト的な事件のノウハウがあることを期待して来た」


「ふむ……」


「ましゃごんと葦人君がいれば犯人なんてイチ殺ですよ!」


「警察も動いているし、この私もいるのだから心配する必要はないと思うけれど?」


 来栖川姉妹は楽観的だ。


「警察を信用してないわけじゃないんだけどな。自分の身を守るということに関しては警察じゃ後手にまわることも多いしな。あの事件で、俺は、いいように翻弄された」


 俺は、犯人を許すつもりはない。

 何も出来ない羊でいるつもりもない。


 だから俺は牙を得て、牙を研ぐ。


「そのための自衛策の1つや2つは持っておかないとならない」


 あの少女の能力もその1つになるだろうが、姿の見えない犯人に対抗する手段が他にもあるなら知っておきたい。


「桜井君は日本人の割りに、自衛意識が高いのね」


「後悔や反省は生きてたら出来るものだ。あの事件でそう思った」


 もう死んだ人は後悔もできない。

 仮に咎識が納得した上でのことでも、これから体験できる色々な可能性を失ったことには変わらない。


「承知いたしました。私が答えられることには答えましょう」


「ああ。これからする質問には真砂だけじゃなく、警察としての見解も教えてくれるなら聞いておきたい」


 凛音の方を見ながら言う。


「ええ、答えられる範囲でなら教えてあげるわ」


「あんな事件は他にもあったのか?」


 AAAの噂からして以前から似たようなオカルト事件があったのだろうと思わざるを得ない。


「公式には知られてませんが、ありました」


「最近、秋葉原に来た私は知らないけれど、あったらしいわよ」


「ああいった事件について警察はどれだけ解っている?」


「オカルトな事件は他にもあったらしいけど事件の完全解明を行えたものは少ないみたいね。前回の事件も中々思うように進んでないわ」


 あんな能力があるのでは確かに難しいだろう。


「それでは有効な事件の捜査方法なんてまだないんだろうな……」


「そうね。だからこそ私が護衛に来たようなものだし」


「真砂はあの変な能力については何か知っているか?」


「あれは、A能力といいまして。秋葉原に住む住人に極稀に発顕する超能力のようなものです」


 さらりと知っていることを言う真砂。

 やはり昔からあったか……。


「A能力は一般的に知られたものではありませんし、都市伝説としてあった程度でしたが。1年ほど前あたりからでしょうか……、そのあたりからA能力者を見るようになった気がします」


 そういうことなら爆弾事件の犯人も能力者っぽいな……。


「A能力を使えるようになったものはアポカリプス#0内のカードの能力を現実に反映させることができます」


「発顕条件や能力の内容を知りたい。あのゲームとの関連性を含めて」


「そこまではわかりません。ゲームについてもゲーム自体はクオリアネットワークを利用した普通のゲームでして原因となりそうな現象は確認されていません」


 クオリアネットワークとは無意識領域を繋ぎ、ユーザー間での共通の認識を反映するネットワークシステムのことだ。

 このネットワーク技術が確立されてから大規模な多人数参加型仮想現実システムを作れるようになった。


 クオリアネットはできた当時は非常に騒がれた。

 俺はそのとき子供だったが、それでも記憶に強く残った技術革新だといえる。


 膨大なテストと数をこなした上で、安全性は保障されているし、現在でもアポカリプス#0では定期的な安全性のチェックは欠かさないという。


「超能力とか冗談にもほどがあるわね」


「えー、でもあったほうが面白いのです」


「でも、姉さんが危険に晒されるようなものならない方がいいと思うわ」


「うーん。平和的な能力ならいいんですけどねー」


 事件の考察といっても情報は少ないな……。

 現状わかることは似たようなことがこれからも起こりうるってことぐらいか。


「あの事件の犯人はこれからも何か起こすと思うか?」


「おそらくは」


「警察としての見解も再犯の可能性は高いと判断してるわ」


 だろうな。残りの聞きたいことは対策だが……。


「単刀直入に聞くが、AAAで解決は可能か?」


「それは……わかりません。現在のAAAは戦力となるのは私しかいない上に、相手が姿を見せないのでは私の能力ではいかんともしがたく」


 さらりと能力といった。

 どうやら真砂もA能力を持っていて、彼の並外れた身体能力はそれのせいもあるとのことだ。


「そうか……」


「ですが、これからも犯人が桜井様を狙ってくるつもりならば、桜井様はAAA部に入った方がよろしいかと。そうすれば私の力で桜井様に助力するのも容易になります」


 最近の秋葉原では様々な事件が起こっている。連続爆破事件だけでなく不自然な死亡事件もあるという。


「普通の住人たちにはあまり関係してくる話ではないのですが、桜井様は事件のこともありますゆえ」


「いや、そこまで迷惑掛けるわけにはいかない」


 前回、鈴音を巻き込んであれだけ後悔した。

 同じ状況を作りやすくするわけには行かない。


「迷惑じゃないのですよー。そもそもあの犯人のやり方なら周りなんて気にせず巻き込むだろうしみんなでいた方が安心なのです」


「それを言われると……確かにそうか」


 カードの少女の能力なら対抗しやすいのも確かで、何度か使ってわかったことだが、『運命交換』は俺の認識範囲内でなければならないという制限がある。

 そして犯人は周りを巻き込むことをなんとも思っていない節がある。


 巻き込むことを恐れても、犯人が勝手に巻き込むか。

 ならば巻き込まれたときにすぐに対処できる方がいいのか……。


「私は姉さんと一緒にいられる時間が多ければ多いほど嬉しいわよ?」


 凛音がそんなことを言ってきた。


 言外に俺の護衛なんて鈴音と一緒にいられなきゃやってられないわよ、と言われているような。

 深読みしすぎか?


「オーケー、そうだな。その方がいい。AAA部に入部させてもらってもいいか?」


「もちろんなのです!!」


「歓迎いたします」


「よーしっ! ならこうしちゃいられないのです!! 凛ちゃんの案内と葦人君の歓迎会で秋葉原に行きますよー!!」


 何故かそういうことになった。





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