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一筋の希望

「まさか、ガルディオンが全滅とは…。」


遠方から知らせを受け、最前線へと駆けつけた開発者エンゲーリンは、未だ黒煙の上がる焼け野原を眺める。

確かに帰還の連絡が入っていた。

その後、手も足も出ずに返り討ちにされたのか。


人体実験の末に、ようやく完成したお気に入りの作品が、こうも無惨に焼き払われるなどと誰が想像しただろうか。

「周囲を監視しろ。何人たりとも付近に近づけるな。」


側にいた部隊長ガルムスは、部下に命令を告げ呆れたようにエンゲーリンを見つめる。


もちろん、この大失態の全てが開発者エンゲーリンのせいではない。

しかしガルムスは、この戦場に漂う暗澹とした気分の捌け口をこの開発者に押し付けようとしていた。


ラルクーザの連中め。

黙って死ねばいいものを。


黒く焼けこげた残骸の墓場を、エンゲーリンは食い入るように観察するが、一向に気の利いた答えは見つからなかった。


冷静になるにつれ、目の前の絶望よりも、明日の絶望がひしひしと湧き上がってくる。

死に物狂いで、言い訳を考え始めている時、ふと辺りの違和感に気づく。


(ん…?あの地面の黒いものは一体なんだ?)


残骸から離れた場所にも、至る所にその黒が落ちている。

草が焼けた跡や、何かが焦げたといったそういう類のものではない。

明らかに異様に、エンゲーリンの目には映っていた。


「急いで、回収部隊を派遣しろ!!!」

唐突に大声をあげ、何やら興奮している様子に部下たちは呆気に取られている。


「どうしたんですか?エンゲーリン殿。そんなに慌てて。」

ガルムスが冷めた声で、その命令を一蹴する。

今さら事を急いだ所で、全滅したという結果は変わらないのだ。


「ラルクーザの伏兵がこちらを狙っているかもしれないというのに、警戒を怠りのうのうと部隊を向かわせるわけにはいきません。」


「そんなこと言っている場合かっ……!」

むざむざ死地に駆け寄ろうとする、非力な老人の片腕を、ガルムスは素早く掴んで引き止めた。


「あまり勝手な行動はするなよ。部隊も、そして偉大なる開発者である貴方も、危険に晒すわけにはいきませんので。」

その目は笑っていなかった。


皮肉混じりの社交辞令でしかない表情をみて、エンゲーリンは思い止まる。

掴まれていた腕を忌々しく振り払った。


物質の解析さえできれば。

それさえ分かれば。


エンゲーリンは、ガルムスとの不毛なやりとりから離れ、ガルディオンの残骸と地面に広がるその黒い痕跡に釘付けになっていた。


その時だった。

意識の外できらりと何かが光った。


ふと視線を凝らしたその先に、太陽の光に反射してもう一度、一瞬きらりと眩しく光るものがあった。




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