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四人でいることが、日常だった -境界線のない放課後-  作者: いもたにし
四人でいることが、日常だった

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4/16

遠くて、近い人たち

――side. 一年生女子生徒――


入学して、少し経った頃。


自然と、噂が耳に入ってきた。


二年に、

いつも四人でいる人たちがいる、という話。


「見た?」

「……あ、あれじゃない?」


廊下の向こう。

並んで歩く四人を見つけて、足が止まる。


背の高い男子と、三人の女子。

雰囲気はばらばらなのに、歩調は揃っている。


目立っているのに、浮いていない。


「彼氏とか、彼女とか……」

「分かんないけど」

「でも、なんかさ」


そこで、言葉が途切れる。

続きは、誰も言わなかった。



――side. 一年生男子生徒――


正直に言うと。


井神 凉は、かっこいい。

目立つタイプじゃないのに、視線が集まる。


「あの中に彼女、いないらしいぞ」

「……嘘だろ」


いない、という噂は希望じゃなかった。

可能性が増えた気が、まったくしなかった。


あの三人の中に、

もう“居場所”が完成している。


「入る隙、なくない?」

「うん」


それ以上、話は広がらない。


広げても、どうにもならない。



――side. 一年生女子生徒――


一度だけ。

友達が、声をかけようとしたことがある。


「井神先輩、あの――」


その瞬間だった。


三人の女子が、

同時に視線を向けた。


威圧でも、拒絶でもない。

ただ、揺るがない。


「……すみません」


友達は、それだけ言って下がった。


何かを言われたわけじゃないのに、

胸が少し、痛んだ。


「ああ……」


ここじゃない。


そう理解しただけなのに、

もう、近づく気は失くなっていた。



――


だから、一部の下級生たちは自然に線を引く。


「あの人たちは、別だよね」

「見てるだけにしとこ」


踏み込まない。

触れない。


それが、

一番きれいだから。



――side. 一年生女子生徒――


放課後。

校門を出ていく四人を、遠くから見送る。


「……いいな」

「うん。でも」


欲しい、とは思わない。

思えない。


あれは、

もう“完成しているもの”だから。


「見てるだけで、ちょうどいいんだよ」


誰かがそう言って、

誰も、それを否定しなかった。


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