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四人でいることが、日常だった -境界線のない放課後-  作者: いもたにし
四人でいることが、日常だった

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12/16

いつも通り、また明日

――side. 井神 凉――


日曜日の夜。


夕食を終えて、

食器も片付いて、

テレビの音だけがリビングに残っている。


そろそろ風呂の時間だな、と思った、その時だった。


「ねえ」


茉依が、

まるで思いついたみたいな声で言う。


「今日はさー、みんなで入らない?」


一瞬、思考が止まる。


「……風呂にか?」


聞き返した俺より先に、


「いいね」

「賛成です」


玲茄と悠希が、ほとんど間を置かずに頷いた。


「……」


「なんかちょっとうれしそうだね」

「そりゃーそうだよねー」

「凉くんらしいです」


三方向から当然のように見られて、

反論の言葉が見つからない。


「……先、行ってるからな」


そう答えるしかなかった。



――風呂


湯気が立ち込める。


いつもより、少しだけ騒がしい。


「洗ってあげる」

「目、閉じてくださいね」


気がつけば、

三人に囲まれていた。


触れる手が重なる。


「……お前らさ」

「なに?」

「なにか?」


言葉を続ける前に、

泡が増える。


甘い時間が、

湯気の中に溶けていく。


長くは、いなかった。


それでも、

十分すぎるほどだった。



――夜


布団に入る時間が、いつもより少し早い。


灯りを消して、

誰からともなく距離がなくなる。


触れているのが、当たり前。

重なっているのが、前提。


「……日曜、終わっちゃうね」

「明日から学校かー」

「早いです」


なにも意味のないこと。

でも、言わずにはいられなかった。


会話はそこまで。


あとは、

いつもの流れだ。


呼吸が揃って、

意識がゆっくり沈んでいく。



――


目を覚ますと、

隣に誰かがいる。


まだ、外からの光は届いていない。

朝と呼ぶには早く、

夜が完全に終わったとも言えない時間だ。


昨日までの出来事が、

ゆっくりと頭の中で形を取り戻していく。


日曜。

内側だけで完結していた一日。


外の世界と切り離されて、

時間の流れすら曖昧になっていた。


月曜が来る。

外側が、また動き出す。


それでも、不思議と胸は静かだった。


布団の中で、

小さく息を吐く。


その音に反応したのか、

隣の気配が、わずかに動いた。


カーテンの向こうで、

朝が、ゆっくりと準備を始めている。



――また、日常が始まる。

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