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四人でいることが、日常だった -境界線のない放課後-  作者: いもたにし
四人でいることが、日常だった

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11/17

それぞれの、内側

――side. 宮藤 玲茄――


夜。

凉の家の洗面所で、髪を乾かしながら思う。


特別なことは、何もない。


誰かに奪われる不安も、

誰かを疑う気持ちも、

最初から存在していなかった。


凉がそこにいて、

他の二人がいて、

それで成立している。


「……うん」


鏡の中の自分に、

確認するように小さく頷いた。



――side. 中里 茉依――


放課後、帰り道。


少し前まで、

自分に向けられていた視線の名残が、

もうどこにもない。


――私は、揺れなかった。


ただ、最初から決まっていた場所に、

立ち続けていただけだ。


無意識に、三人の名前を呼んでいた。


前に三人の顔が見えた。

もう、それだけで良かった。



――side. 中里 悠希――


夜、布団の中。


少しだけ、目を閉じたまま考える。


外からどう見えるか、

どう言われているか。


気にしないわけではない。

でも、それで内側が変わることはない。


「……静かですね」


誰に向けるでもなく、呟く。


この関係は、

説明を必要としない。


理解されなくても、成立している。


それが、心地いい。



――side. 井神 凉――


リビング。


三人がそれぞれ別のことをしている時間。

同じ空間にいるけれど、

会話はない。


それでも、

不安になる理由がない。


守るとか、支えるとか、

そういう役割分担もない。


ただ、

同じ場所にいる。


それだけで、

十分だと分かっている。


「……」


ソファに深く座り直す。



――


誰も、言葉にしない。

誰も、確かめ合わない。


でも、全員が知っている。


外側で何が起きても、

内側は、変わらない。



この関係に、

山場はない。


明日も四人で、家に帰ってくる。



いつもの夜が、やってくる。

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