外側で、勝手に終わる
――side. 井神 凉――
最近、校内が妙に落ち着いていた。
騒がしかった視線も、
ひそひそ声も、
いつの間にか、別の話題に塗り替えられている。
俺たちは、何もしていない。
――
「最近さ」
「あの四人、話題にならなくなったよね」
「前はすごかったのに」
「なんだったんだろね、あれ」
興味は、薄れるのが早い。
理由がないものほど、尚更だ。
――
三年のあの三人は、
廊下の端で立ち話をしていた。
「結局、何もなかったな」
「あの一件と、おれらのやり取りでけっこう騒いでたけど」
「あっという間に落ち着いちまった」
「なによりあの四人、完全スルーだし」
苛立ちというより、
拍子抜けに近い。
「こう、反応がないとさ」
「ぜんっぜん面白くないわ」
誰かが、肩をすくめる。
――昼休み
俺たちは、いつも通りだった。
「今日のテスト、範囲やばくない?」
「抜かりありません」
「悠希はさすがだねー」
会話の内容も、
座る位置も、
距離感も、変わらない。
周囲がどうなろうと、
内側は、変わらない。
――
最初は好奇。
次は疑念。
そして、いつの間にか――終わり。
「なんかさ」
「……もういいよな」
そんな声が、
あちこちで聞こえるようになる。
理解できないものは、
長くは保たない。
――side. 井神 凉――
放課後。
校門を出るとき、
例の三人と、目が合った。
一瞬だけ。
向こうは、何も言わなかった。
言うことが、もう無いのだ。
そのまま、すれ違う。
帰り道。
「終わったね」
「静かになったー」
「そうですね」
誰も、達成感なんて持っていない。
ただ、元に戻っただけだ。
いつものコンビニが見えた頃、
茉依が立ち止まった。
「……りょーくん、れなっち、ゆき」
3人は後ろを振り返る。
うつむいている茉依の表情は見えない。
「……ううん。なんでもなーい」
いつもの笑顔で、そう言った。
「そっか」
それ以上、聞かなかった。
そのまま四人で、いつもの道を歩く。
俺たちは、
“守った”わけでも、“勝った”わけでもない。
外が勝手に始めて、
勝手に去っていった。
それだけのことだ。
――夜
家に戻ると、
いつものように四人分の気配がある。
誰かがソファに座り、
誰かがキッチンに立ち、
誰かがスマホを見ている。
その光景が、すべてだ。
外側がどう動こうと、
内側は、最初から変わることはない。
触れようとする手はたくさんある。
だが、届いたことは一度もない。
明日も、
また四人で登校する。
いつもの朝がやってくる。




