EP:13-Fulfilling days. 〜④〜
素直に誉められるのはむず痒い彼。
何時だって自分がやりたい様にやるだけだと言い張ります。
劇が終わって。
「私もああいった動きを参考にすれば華やかさとかを身に着けられるのだろうか?」
未だに興奮冷めやらぬチェリムと売店で売ってたチュロスを頬張るアニマを連れて、裏口へ。
「...こっちは関係者以外立ち入り禁止とあるぞ?」
「問題ねぇ、そろそろ来る。」
と言ってたら。
[すまない、待たせた。]
「ひゃっ」
いつ現れたのか。
チェリムの背後に、前と同じ格好で現れるスサノオ。
相変わらず加工ボイスだ。
びっくりしてあらぬ声を出してしまい、赤面するチェリムだが、ブレードは特に触れず。
「よぉ、スー。」
[ブレードさん、お誘いいただき感謝する、こちらの方...は...]
チェリムの顔を見るなり固まるスサノオ。
[チェリム...ヴィネット中佐。]
「私をご存知なのか...えぇと...スー殿。」
[え、えぇ...日夜このクレアヴォーヤンスの平和を守って下さる立派なお方だと認知してます。]
「嬉しい言葉だ、感謝する。」
「堅物で悩みは実年齢より老けて見られる事らしいがな。」
「何故それを!?そういえば昨日の夜も!!」
「お前の母ちゃんがベロンベロンになりながら話してくれた。」
「お母さまッッ...」
[ハハハ...]
憎みたいけど尊敬する人間であり上司だから憎めない。
そんな葛藤を思わせる苦み面。
それはさておき。
立ち止まっていると裾をくいくい。
「にぃ、お腹空いた。」
「チュロス食いながら言うセリフじゃねぇな。」
前に来た居酒屋へ移動する。
「しかし、スー殿は一体何者なのだろうか?」
[その...演者だ。]
「先程の舞台に出ていたのか。」
「それも主役だぜ。」
「なっ!?」
主役...即ち、目の前にいるのがスサノオという事を指している。
が、大声で叫んだらそれが周りにバレてしまう。
グッと堪えて。
「ご活躍見事だった、心を奪われたよ。」
[...嬉しい言葉だ。]
「しかし...女性だったのだな。」
今のスサノオはサラシ等で胸を抑える等行っていない。
とても立派なソレが見える…ソニア並の。
「しかし、この男とはどういった関係で...?」
[...ブレードさんは私のかけがえのない恩人で…だ。]
スサノオは前回あった暴漢クレーマーによる事件の顛末を話す。
何故か少々、歯切れが悪いが。
「話はお聞きした事があるが...まさかあの時暗躍していたのがこの男だったとは。」
「成り行きだ、以上。」
[それも依頼料を全てあなたの妹さん経由で返してくれたんだ。]
「そんなことまで...お前、本当に良い奴なんだな。」
「応援費だ応援費、金を個人的に使っただけでそれ以外の深い理由はない。」
自分が優しい等あってたまるかと大きく息を吐く。
ともあれ、直ぐに打ち解けた様で何より。
居酒屋に着き。
「いらっしゃい...おぉ兄ちゃん!!」
「おっちゃん、ナマ一つ。」
それから席に案内され、各々注文。
すると、飲み物をコーニッシュが運んできた。
「げっ」
「よぉ貧...コニー。」
「開幕から喧嘩売ってるんですの?」
興奮してお嬢様モード発動。
こうも頻繁になる所見るとこちらが素らしい。
「いつか復讐しますわ...」
「そんな未来が来るといいな。」
「馬鹿にしてッ...」
近くには空笑いするスサノオと呆れ目で見るチェリム。
アニマは店長からもらったクッキーをハムスターの如くポリポリ。
そのまま注文を聞こうとするコニーだが、ふとブレードの隣に座るチェリムの姿を見て固まりだす。
「ヴィ、ヴィネット中佐...?」
「ん、如何にもそうだが...どうかしたか?」
「こいつ、ソニアの同級生らしい。」
「そうか...ソニアの。」
何やら顔が暗くなるチェリム。
合わさってコニーも顔が暗くなる。
昨日もソニアと顔を合わせたコニーが何処か気まずそうにしていた。
そういえば、学校があるならそれなりのルーチンがあり、そうそう会う事は難しい筈なのに。
ソニアとは割と色んなタイミングで会えている。
学校の事は余り話したがっていない様だったので聞かなかったが、割と深刻な何かがあるのだろうか。
ま、何はともあれ...コホンとワザとらしく咳を鳴らすブレード。
空気を読んでやる気は一切ない。
「そんな愛し人みてぇに見つめ合ってねぇで注文頼むぜ。」
「...それもそうだな。」
スサノオも気まずそうにしていたので。
これで空気は変わった。
生ビール一つにジュース3つの注文を受け、コニーは厨房へ引っ込む。
「すまない、ホプキンス、スー殿。」
「いや。」
[大丈夫だ。]
「アニマちゃんもすまない。」
「おー?」
よくわかっていない様子そりゃそうだ、クッキー3つ目に突入してるのだから。
そんな彼女の様子に苦笑し、目線をブレード達に戻す。
「そういやまだ飲めねぇんだっけ?」
チェリムはまだ19歳だ。
この国ではどんな文化があってもお酒と煙草は20歳から。
「あぁ...もうすぐ誕生日なのだがな。」
「そん時には飲み方レクチャーしてやるよ。」
「助かる。」
自分の母がかなり好きなのだと最近知ったお酒がどういう物なのか興味がある。
その中、スサノオが立ち上がって。
[すまない、少しお手洗いに。]
「あぁ。」
「おう、花積んで来い。」
スサノオはそそくさとトイレへ。
その直後、ブレードの携帯にメッセージが。
ソニアからだ...内容は
"姉がもうすぐ誕生日なんです、お祝いをしたいのですが何かプレゼントのおすすめはございませんか?"
だ。
実にタイミングが良い、いや実に。
今、本人と会っているから自分が聞いておくと答える。
携帯を仕舞って。
「おい堅物シスコン。」
「その呼び名やめてくれ...どうした?」
「あぁ、実はな...」
あれから楽しい食事を過ごし。
「今日は楽しい時間を感謝する。」
チェリムとスサノオは帰る方向が同じキングダムだそうなので、別れた。
今日も沢山食べれてご満悦のアニマを連れてマハロへ帰宅。
初めて連れ帰った時からお風呂が苦手らしいアニマの首根っこを引っ掴んで共に風呂に入り。
いつも通り、スティーヴに一言挨拶をして2人で共にベッドに入る。
段々行動が年の離れた兄妹染みて来た2人にとっては最早当たり前のルーチンである。
「おやすみ、にぃ。」
「あぁ、おやすみ。」
そのままスッと眠りに落ちる。
昨日、今日と平和に楽しく過ごせた。
毎日がこうだと面倒無しで良いのに。
けれど最近、面倒だが暴れる時間が悪くないと思っている。
昔みたいに殺伐とした紛争がある訳じゃないし。
人は殺すが。
まぁ、明日はどんな一日になるのか。
...
変だ。
眠りに着いた感覚と言うのは変だが、確かにあった筈だ。
なのにこんなにも熟考を重ねている。
明晰夢と言う奴か?
それにしては何やら意識がハッキリしている。
身体も動く。
もう朝か?
目を開くと...
草原の上。
空は綺麗な星空。
古典的だが、頬をつねると痛い...夢じゃない。
「何だ、これ。」
異空間にでも閉じ込められたのか。
アニマもいない、探さなければならない。
立ち上がり、手を翳す。
眩い輝きを伴って現れる浅葱色の刀、インペリアル。
武器は確保できた...ローグは普段自分とは切り離してホルスターに入れているから無い。
この世界のどこかに運よく落ちていれば嬉しいのだが。
悩んでいても仕方ない。
そういえば昔魔法の勉強をしていた時に聞いたことがあった。
"夢"属性の大魔法が世界を作れるとか...夢で。
これがもし、そうだとしたら面倒だ。
夢の世界で犯人を見つけなければならない。
しかし、夢か。
今欲しいモノを思い浮かべれば出てきたりしないだろうか。
何て考えて少し歩くと。
ウッドテーブルと、チーズバーガー。
「いや武器出て来いよ。」
先が思いやられそうだ。
to be continued...
今回はここまで。
閲覧ありがとうございました!
次回は月曜日、夢の世界の大冒険!!




