EP:25-Tukimi sake. 〜③〜
デートパート2。
アニマも無理矢理同行。
翌日。
アニマ、ソニアと3人でこの地を巡るブレード。
今日が最後なのだ、しっかり楽しまねば。
雪原に小さく生えた草を啄む。
そして口元で繊細に息を吹きかけると音が鳴った。
初めてのそれを見て、ソニアは目を光らせる。
「ブレードさん、これは?」
「草笛...これは元々、カナエに習ったんだ。」
嘗ては走り回ってはこの草笛を鳴らし回っていた。
「そしてこれは狩りにも使われていたぞー。」
と、間の抜けた口調で語るのはアニマ。
予想外の所からの知識で目が点になるソ
ニア。
だがブレードは気にせず。
「動物をこれで使役していたとか?」
「うん、後は仲間を呼ぶ合図。」
「そりゃ有能な道具だな。」
久しぶりに吹いたが衰えていないらしい、ちょっとドヤ顔になれる。
「では、私も。」
彼の真似をする様に草をもぎり。
口元に当てて。
ふすー。
...気まずい。
当人、顔真っ赤で目ぇ逸らしているし。
「えっと...その...」
「下手。」
「う˝っ」
アニマ、会心の一撃。
致命傷である、膝から崩れ落ちる程に。
「実は口笛すらロクに吹けないんです...」
「それで草笛に挑戦すんのって大したチャレンジャーだな。」
「あうっ」
追い打ちまで食らって立ち直れないと言わんばかりに顔を覆うソニア。
そんな彼女の肩をポンと叩き。
「俺も昔は苦手だったさ。」
「ブレードさん...」
「お前程じゃなかったけど。」
「上げて落とすんですか!?」
「にぃ、鬼畜。」
「最初にスパッと斬り捨てたのはどこの誰ですかねぇ。」
意地悪な笑みを浮かべながらへっへと笑うブレードとアニマ。
そんな2人を見ていると、何だかクスッと笑えて来たソニア。
そこから連鎖する様に震えて笑い出した。
何かと怪訝気に彼女を眺める2人だが。
「すみません、本当に兄妹みたいだなって。」
「まぁ、兄妹だしな。」
「うん、にぃとアニマは兄妹。」
手を繋いでそう言ってのける2人の姿がもっと微笑ましくてより笑みがこぼれる。
「そしてソニアも。」
「...ん?」
零れたのに。
「にぃと結婚すれば姉妹。」
「ぴぃッ!?」
はい、凍結。
最近この手の話題で弄られ過ぎである。
しかもよりによって本人を目の前にして。
「だ、だからアニマちゃん...私とブレードさんはそういう関係じゃ...」
「そうか、俺とは遊びだったのか。」
「悪女ー。」
「2人とも揶揄ってますよねぇ!?」
とうとうアニマにまで弄られるようになってしまった。
自分を何だと思っているのか。
けど、笑えちゃうくらいに楽しい。
彼と会ってから楽しい日が続く。
こういった場所に来るとも思っていなかったし。
「さて、せっかくだからカナエに教わりに行くか?」
「良いですね!」
というわけで、旅館へ戻る。
その道中、一とイイ感じになろうと頑張って滑っている功を発見したり。
我音に余計な事を吹き込まれているケインを見つけたり。
クラナと苦労を分かち合うコーニッシュとそれらを見守るダズマがいたり。
鈍感なジュリアスの気を引くのにあの手この手模索中のカノンがいたり。
生き生きしているスティーヴに着せ替え人形にされて死んだ瞳のポロフがいたり。
どこに来ても変わらないなと、笑みが零れてしまう。
そんな道中。
旅館に着き。
アニマは初雪の元へ。
そして2人は佳奈江を探すと。
中庭で、簡易的な案山子相手に木剣を振るいぶつける彼女の姿。
「あ、ブレードさん、ソニアさん!」
彼女はせっかく頂いた剣を無駄にしたくないとの事だ。
「ブレードさん、せっかくだから鍛錬してあげたらどうですか?」
「良いのよ!?」
確かに、それは魅力的な提案だ。
必要な事だし。
「いいぜ、ただし条件だ。」
「何なのよ?」
「後でこの口笛下手娘に草笛教えてやってくれ。」
「酷い!?」
半泣きでツッコむ彼女を後目に了承した。
さて、案山子を片付け、整地して。
距離を取り。
互いに木剣を構えて向き合う、ブレードと佳奈江。
と、眺めるソニア。
「良いか、テメェは運動神経も良い方だ、今から繰り出す攻撃を捌け。」
そう言って彼は左袈裟に斬りかかる。
が、指示通り受け流す。
次の斬撃も流し。
流し、流し。
飛んできた突きも弾き、距離を取る。
だがそれを詰める様に肉薄して来た。
ビビってはいけない。
さっきから自分が行っている動きは、ハマっているゲームの真似事だ。
実を言うと、神殿でも咄嗟に出て来た立ち振る舞いはゲームやアニメの動きだ。
そして見覚えのある彼の動き。
察するに、彼の動きのモデルにもそれが混ざっている。
だが、自分とは違って実践を色々経験しているからか無駄を感じない。
いや、少し隙を見せている...自分に合わせているのか。
行けそうな気がする。
と、思って攻めたら痛い目を見る。
首先に刃先を向けられている今の様に。
「わかっていて突っ込んだろ?」
そこまでお見通しらしい、流石だ。
「その感覚、忘れんなよ?」
「はいなのよ!」
それから暫く打ち合いをし。
何度か転がされた佳奈江だが、ずっと一生懸命で。
それを微笑ましそうにニコニコ眺めるソニアの姿がそこにあった。
今日は彼女のニコニコ日和である。




