表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/179

EP:24-Temple of Cocytus - the second half - 〜②〜

ダンジョンボス戦、開始。


本殿の外、離れの回廊。

1人、黒衣に身を包んだ銀髪の幼き少女が傘を広げて立っていた。

身体中に包帯が巻かれていて、綺麗でありながらもどこか不気味。

そんな彼女の目の前に、形を持って靄の如き闇が現れる。

闇は竜巻の様に巻きに巻いて旋風(つむじ)となり。

千切れるように晴れたその場に。

ブレードの一撃を食らう寸前だった殲滅者が膝を突いて現れる。

死の気配を目前に感じていたからか、息が荒い。

暫く、息を整えるべく無言だったが。

やがて落ち着き、目の前の少女の姿に気が付く。

「...お前が転移したのか。」

「うん。」

少女は静かに首を縦に振って答えた。

だが答えた直後、殲滅者は彼女の首を掴み、持ち上げる。

苦し気に顔を顰めるが、大して抵抗しない。

「余計な事をしやがって、俺は負けてなかったんだ!!」

「でもッ...」

「何とかして逆転できたんだ、それをよくも!!」

しかし、そんな自分が今、どんな姿をしているのか自覚した彼は絞めた手を緩め、優しく降ろす。

「あぁ申し訳ない、俺とした事が何たることを。」

「気にしないで...ケホッ。」

「あぁそんな顔をさせてごめんよ姫君。」

顰めた顔に芝居がかった口調で謝罪の句を述べる殲滅者。

"姫君"は意に介さないと言わんばかりに歩き出す。

「それで、"例のモノ"は?」

「あぁ...ここもダメだったよ。」

「そう。」

なら。

この地で行う事は済んだ。

後は置いて来た力に任せておいて去るのみ。

闇が2人を包み。


消えた。






ーーーーーーーーーーーーー





 

この部屋に閉じ込められた時に遡る。

「お姉ちゃん達、大丈夫!?」

ポロフが現れた、戦力としてとても助かる。

「なんとか…来てくれて助かるのよ。」

「ここ、嫌な気配が充満してるの。」

先程の聖堂よりも広々とした白銀色で彩られた円形の広間。

勿論、佳奈江は嫌な予感しかしなかった。

殲滅者の様子からしてもそうだし。

自分がハマっているゲームとかで似たような雰囲気を見た事がある。

先程の聖堂が中ボス部屋だとしたら、ここは...。


ボス部屋だ。


突如鳴り始める地響き。

部屋の中央が突起を起こし。

大きく凹む。

数秒凹凸に波打ち、沈む。

大穴が形成された後、沈んだ地面が変化して現れた。


巨龍の姿で。


「...マジなのよ?」

「さっきの奴が、この部屋にあった神物に手を加えたみたいなの。」

「この気配...僕達と同じ。」

"黒"。

魔人に近しいそれは、最早"魔獣"と呼ぶべきモノだろう。

龍は咆哮を放つと共に吹雪を発生させる。

先程までの寒さ等比ではない。

痛い。

身体が凍り付き始めている。

初雪は平気だが、他の2人はそうでもない。

「時間は無さそうなの。」

初雪は己の力を両手に込めて2人の背に触れる。

すると、凍り付きが収まり、身体が動きやすくなる。

しかし、それも微々たる効果しか無いらしく。

身体の節々に冷たさと痛さが再び生まれてくる。

「雪の力でも遅らせるのが限界なの。」

「ふん、充分だよ。」

「急いでケリをつけるのよ!!」

先ずはポロフが両爪を伸ばし、斬撃を飛ばす。

だが、かなり強固な様で効果が薄い。

それでも諦めない、初雪が冷気を龍に向けて放つ。

無論、効果は無い。

けれどそのまま冷気は凍り付いて形となる。

まるで架け橋の如く。

「佳奈江、ちび助!!」

「僕はポロフ!!」

「よし来たなのよ!!」

2人、架け橋を駆け、龍に肉薄し。

揃って同じ場所に斬りかかる。

ただ叩くだけでは効果など無い。

だからポロフは爪から超振動を発し。

佳奈江は先程のブレードが行ったビッグフット戦を思い出し。

氷魔法の札を刃に貼り付け。

解放(リリース)!!」

イメージし、波を構築する。

擬似氷震を起こす波を。

奇しくも2人の攻撃の波は微妙にズレて重なり。

巨大な波となって龍の身体に決して小さくの無いヒビを入れる。

『よし!!』

偶然だが、ダメージは入った。

痛みも伴っている様で苦し気に暴れ出す。

早急に離脱を図る。

「わっ!?」

しかし、まだ戦闘慣れしている訳ではない佳奈江。

足を滑らせて橋から落ちかける。

そこに、氷塊を生み出し、狙って発射する龍。

中々の大きさだ、まともに当たれば骨も危うい。

「あぁもう!!」

が、辛うじての所でポロフが弾いて流し。

佳奈江の手を掴み、間一髪。

「ありがとうなのよ!」

「お姉ちゃん、もう一度行ける!?」

もう一度...擬似氷震の事だろう。

Noと言っている暇は無い。

「もちろんなのよ!」

「なら行くよ、せぇー...の!!」

掛け声とともに佳奈江を投げ飛ばすポロフ。

思い出せ、もう一度イメージしろ。

ポロフも合わせる様に龍の前に立ち。

振り下ろされる双つの刃。

『砕けろォッ!!』

掛け声と共に合わせられ、叩きつけられた刃は先程より大きな波を起こし。

ヒビが更に深まった。

しかし、その威力は橋にも効果あった様で。

ピシピシと伝い、聞こえる嫌な音。

「え?」

「あ、マズいのよ...」

気づいた時にはもう遅い。

龍もそれに気づき、尻尾を振り回して橋に叩きつける。

初雪の冷気で作られていた橋は崩壊し、宙へ投げ出されてしまう。

『うわぁああ!!?』

前方に暴れる怒り心頭の龍。

再び襲い掛かる咆哮と共に生み出される無数の氷塊。

下方に...奈落。

「世話が焼ける馬鹿共なの!!」

が、そこは流石初雪。

地に手を着けて氷の壁を横から2人を庇う様に発生させる。

次に巨大な雪の手を2つ召喚する。

伸ばされた手は2人を拾って自分の元へ投げ飛ばし。

要領はわかった。

「さっさと消えて...」

拳を振りかぶらせて。

「いなくなれなの!!」

全身全霊のダブルストレートが炸裂した。

粉塵を上げて何かが粉々に砕け散る音が響く。

それを見て、佳奈江とポロフは手を取り合って飛び上がる。

浮かぶ感情は歓喜と安堵。

「やった!!」

「やったのよ!!」

討伐完了、これでこの異常気象も解決。


...等ではなく。


「まだなの、構えて!!」

初雪の怒号と殆ど同時に、氷の結晶が部屋中に広がる。

2人の足元からも。

「なっ!?」

佳奈江が当たり、凍り付き。

「お姉ちゃん!!」

近寄ったポロフも凍り付き。

「2人とも!!...ッ!?」

初雪も飲み込まれてしまった。

全て、氷の結晶の中に。


そして。


桐江(きりえ)…?」 


基本3回の法則。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ