天龍寺⑨
「……仕事が忙しくて、クリスマスも仕事が終わらなくて、ドタキャンしてしっまって、振られたんです」
「そうなんですか……」
うつむいたまま返事する裕華。
「謝ったんですけど、許してもらえなくて……」
「旅行をプレゼントして、仲直りしようとたんですけど、”そういうところが本当に嫌い”と言われてSNSもブロックされてしまって…」
「「…………………」」
滝石組の前で立ち尽くす2人。
無言の2人のにお構い無しで、観光客は記念撮影をしては通り過ぎる。
「「…………………」」
「夜に縁切り神社に行ったのは、日中は予定を入れてたからなんですよ、はは」
数名の観光客が通りた後、イケメンが弱気な一面を初めて見せる。
「ごめんなさい。もう大丈夫です。進みましょう、百花苑に行きましょう」
裕華がイケメンの手をとる。
2人が並んで参拝コースを進む。
曹源池を一周し、百花苑を目指す。
冬の百花苑には落ち葉はなく、緑絨毯の様な苔と灰色の冬木しかなかった。
「なんか、さみしい所ですね」
無言に耐えられず、しかし、ほめる所を見つけられない裕華がしぼりだす。
「苔はあまり興味ないですか?」
「コケ??」
発音がニワトリの鳴き声になる裕華。
「あぁ、ほら、蝋梅が咲いてますよ」
「ローウバイ??」
アニキャラ風になる裕華。
「あの小さな黄色い花です」
イケメンが遠くを指さす。空の青に点々と黄色が混じるところを指さす。
「行ってみましょう」
2人が手をつないだまま、歩幅を合わせる。




