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天龍寺④
「あたしと連絡先交換を嫌がる人なんてないでしょ」
ドーーーンと胸を張る裕華。
歌織と沙音は哀れみの目で先輩を見つめる。
「じゃあ早くイケメンの連絡先ゲットするっす」
沙音がヤケクソ気味に叫ぶ。
「もう連絡先とかいいし、歌織の後から、聞く気にならないし」
ふてくされ気味の裕華が下を向いたまま、か弱く口ごもる。
歌織の善意が地雷を踏みぬく。
「あたしがライングループ作って、招待しましょうか?」
悪意のない笑顔の歌織。それが余計に裕華をいらだたせる。
「ふざけるな!自分でゲットするわ」
裕華が先輩のプライドで素直になれない。
「まだ連絡先すら聞けずじまいで、それで告白とか無謀すぎるっす」
沙音がヤレヤレと手を広げ、あきれる。
「あたしは3倍速で生きてるし、不可能を可能にするタイプだから、ヨユウっしょ」
裕華が謎の自信を見せる。
歌織と沙音が言葉を失い、硬直する。
世界遺産、曹源池庭園の見事な景色をもっても、裕華を浄化できなかった。
イケメンを絶対あきらめない、裕華だった。
「も~いいから、あんたたち先に行っといて、2人きりにして、そしたら全てうまくいくから」
嘘偽りを一切感じさせない、本気のトーンの裕華。
「「はいはい、わかりました」」
歌織と沙音があきらめて方丈から先に進む。
最終決戦に裕華1人で降り立った。




