嵐山⑧
「「え?」」
女子2人が驚きの声をあげる。
裕華の顔がこわばる、隣のイケメンは気が付かないが、対峙する歌織はさすがに察する。
「あの、あたしそろそろ沙音呼んで、天龍寺行くから大丈夫です」
歌織は焦り気味に断る。両手を前に出して、全力で断る。
「ではでは、デートを楽しんでください」
爆弾を投下して歌織はお茶屋さんに消えていった。
「アホの子でスミマセン」
「いえ、明るくて面白いですね」
イケメンは微笑み、裕華は苦笑いする。
「じゃあ、行きますね」
気を聞かせて止まってくれた車夫が人力車を発進させる。
人力車が車道をスイスイ走って行く。
歩行者や車より目線が高くて気持ちが良く、あっという間に渡月橋に到着する。
渡月橋の全体が見れる絶好の撮影スポットで、一旦止まり、車夫が振り返ってガイドしてくれる。
「渡月橋は700年以上前に中秋の名月を見た、亀山上皇が読んだ詩を元に名付けられた橋なんですよ」
「へ~歴史があって素敵ですね。私たち4月から戦国系アニメ出るから参考になります♡」
裕華が露骨にアイドル声優アピールをする。
車夫とイケメンがアイコンタクトで返答を譲り合う。
「声優さんなんですね~、それはすごいですね~」
車夫がお仕事をまっとうする。
「そんなことないですよ、今や声優なんて1500人以上いますから~」
裕華がハナタカさんになる。
「そうなんですか~でも少ないですよ~京都の若旦那なんてもっといるんじゃないですか?」
車夫がイケメンに尋ねる。
「定義によると思いますけど、京都は企業数が多いですからね~」
イケメンは適当にのっかる。
「若旦那って素敵ですね」
「そうですね、私は若旦那ではないですけどね」
裕華がイケメンに向かって言うと、イケメンが即否定する。
撮影スポットで写真もとらずに、意味のない会話を続けた。




