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嵐山⑤
「大丈夫ですか?少し休みますか?」
裕華の肩に手を添えて、イケメンが本気で心配する。
「大丈夫です。ごめんなさい。ジュースと思って飲んだからビックリしちゃって♡」
裕華はイケメンの胸から一歩下がり、甘い声で酔った演技を披露する。
声優の本気の演技にイケメンは完璧にだまされてしまう。
「もう大丈夫なんで、行きましょう」
裕華はイケメンの手をとってお土産売場を後にする。
裕華に手を引かれて、イケメンは渋々ついて行く。
すると駅を出てすぐの信号で、プラカードを持った人力車を発見する。
「ちょっと待ってください」
先行する裕華を引き留め、イケメンは財布から一万円を取り出す。
「30分貸切りでお願いします」
なれた手付きで車夫へ一万円渡すと。
「コースはどうしますか?」
車夫はイケメンに嵐山のパンフレットを渡し、尋ねる。
「彼女と相談するのでちょっと待ってもらえますか?」
『彼女』
裕華は彼女の言葉にドキッとして、酔ってもないのに赤くなる。




