鉄板焼デート⑦
裕華は黙って、イケメンに熱視線を送る。
愛想のよい笑顔で無言のプレッシャーをかける。
「安井金毘羅って終日ご参拝できるみたいなんで、今晩行く予定なんです」
沈黙の重圧に負けたイケメンが喋りだす。
「えぇぇぇ!?安井金毘羅に夜行くんですか??丑の刻参りですか??」
大げさにのけぞる裕華。
「丑の刻参りはしませんけど、食後にブラブラしようと思います」
「夜に初参拝だと、大変な場所ですし、ご案内しましょうか?」
裕華は潤んだ瞳をイケメンに向ける。
「いえ、そんな、悪いですよ、 食事の後はゆっくりする予定だったんじゃないですか?」
イケメンが戸惑いつつ口を開く。
図星を突かれて、戸惑う裕華から言葉が出ない、その間にイケメンが言いづらそうにしながら、小声でささやく。
「湯上りですよね?せっかくの旅行中に風邪をひいてしまったら悪いのでご遠慮します」
あれ?声優?と勘違いしそうなイケボで、イケメンが裕華を昇天させる。
斜め45度から、乙女ゲームキャラのようなポーズのイケメンを冷めた目で見る2人の後輩がひそひそ話す。
「厄介なイケメンですね、歌織先輩」
「ああいう親切イケメンは厄介よね、止める理由がなくなるし、ゆーぼう先輩はますますのめり込むし」
女性陣が好き勝手にイケメンを採点し、内輪でグダグダしていると、チラチラ腕時計を確認するイケメンの動作を女性陣全員が気づけないでいた。
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