鉄板焼デート①
「また再会できるなんてすごい偶然ですね」
一目散にイケメンの隣の隣を確保した裕華が口火を切る。
「ほんと、すごい偶然ですね」
ちゃんちゃん
イケメンは一言返して、視線をシェフに向ける。
目の前でシェフが毅然とした態度でトマトを焼く。
鉄板で焼くトマトをヘラでキレイに裏返し、モッツラレラチーズをのせて、エキストラバージンオイルをかける。
ジュウジュウ美味しそうな音と、目の前の華麗なヘラさばきに注目が集まる中、裕華はイケメンを横目で凝視する。
声をかけるタイミングをうかがう。
声をかけさせる、方法を考える。
ジュワーと美味しそうな音がなると、シェフが見事なヘラさばきで前菜を皿に盛りつける。
バジルソースのかかった、鉄板焼チーズトマトが目の前に置かれた。
一斉にスマホで写真が撮られる。
裕華も写真を撮るが違和感を感じた。
裕華の皿には、くし形のトマトふた切れに真ん中にチーズが乗っていて、バジルソースがかけられている。
イケメンの皿には裕華の二倍の量が盛り付けられていた。
おもわずイケメンの皿を凝視してしまうと、イケメンにバレてしまう。
「これ2人分なんですよ」
イケメンが爽やかな風のようにサラッと言った。
「2人分??」
裕華が素のリアクションで顔にクエッションを浮かべる。
「今日は2人旅の予定だったんですけど、1人になってしまったんです。料金は変わらないので、2人分食べようかなと思って」
イケメンが食い意地をはる。
「へぇ~そうなんですか~」
裕華が俄然やる気を出す。それってつまり?
内心ほくそえんでる裕華を無視して、歌織と沙音は淡々と料理を食す。
2人の顔にメンドクサイと書いてあるかのようだった。




