せや京都に行きまっせ⑦
「でも、お連れ様に悪いので、遠慮させていただきます」
裕華が振り返って歌織に無言の疑念を向ける。
狩りを邪魔されたライオンのごとく、裕華が歌織を“あぁ”と歌織だけに聞こえる小声で威嚇する。
歌織は手と首を小さく振り、命がけで否定すると、裕華は再びイケメンに視線を戻す。
「じゃあ、私と2人で京都観光しませんか?あたしたち、3人で京都に来てるんで、後輩2人、私達2人の2・2で観光しませんか?」
「2・2?はぁ??でもせっかくの京都ですし、後輩と縁結び神社を回ってください」
裕華が言う2・2の意味がわからず、とりあえずお断りするイケメンだった。
「そうですか?ちなみに京都のどのあたりに行く予定だったんですか?」
裕華はしつこく食い下がる。
「当初の予定では、清水寺とか、鈴虫寺とかだったんですけど」
イケメンは紳士的に対応を続ける。
「すごい!あたしたちも今から行くところです!!」
やらせなし、本当に同じところに行く予定だった裕華が演技でない、マジな驚きを見せる。
けれども、イケメンはまったく驚かない。
悲しげな瞳でアンニュイにか細くささやく。
「でも1人なんで、とりあえず安井金毘羅宮に変更しようか検討中です」
心底がっかりする裕華が初めて聞いた名前を不思議そうにリピートする。
「安井金毘羅宮?ですか?」
「はい…」
イケメンは裕華に手を掴まれたまま、黄昏る。
心ここにあらずといった感じだった。




