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せや京都へ行きまっせ②

歌織と沙音は新幹線の2列シートに2人で座る。


裕華は3列シートの通路側の指定席を購入して座る。

お正月で混雑しているために、2列シートに空きがなかった。

仕方なく適当に購入した席の1番奥、窓側に超イケメンが1人でアンニュイな雰囲気で外を眺めている。


新幹線が東京を出発し、品川、横浜を通り過ぎたところで裕華が後輩2人の元へ走りだす。


「ちょっといい?」

裕華は顔をくいっとデッキの方にやり、後輩をデッキに連れて行く。


「どうしたんですか?怖い顔して、隣にグッズを持ったファンとかいたんですか?」

不安そうな顔で歌織が尋ねると、裕華がにやりと唇を吊り上げた。


「すっごいイケメンが隣にいる!どうしよう?緊張する!人生最高のイケメンがお隣にいる!」

何度も裕華に振り回されてきた後輩2人だが、ここまでイケメンにヒートアップして早口になる裕華を始めてみた。


沙音が不思議そうに尋ねる。

「イケメンって、ゆー先輩もう29だからイケメンよりも結婚して幸せになれる人がいいって言ってませんでした?」


「言ってた言ってた、ゆーぼう先輩よくイケメンはもう無理ってよく言ってる」

裕華と一番いっしょにいる歌織も同調する。


「そこにイケメンがいたら声をかけるでしょ。イケメンでさらに、めっちゃアンニュイなの」

「ずっと外を見てて哀愁が漂ってて、めっちゃ好みなんですけど」

裕華はデッキで人目もはばからず、地声より2オクターブ高い大声をだす。

テンションが上がりまくって、目の瞳孔が開く。


物理的に裕華より身長の低い歌織と沙音は、いつものように井ノ瀬裕華をジト目で見下す。


「そうなんですか、良かったですね。頑張ってください」

歌織は裕華から恋愛話を聞くのは好きだが、恋愛に付き合わされるのは嫌だった。

厄介そうなので、そそくさと席に戻ろうとすると、裕華と沙音に止められた。


「「ストップ、ちょっと待って!!」」


「「協力してイケメン・ゆー先輩を捕獲しよう」」


「「???」」


「私を捕獲?」

井ノ瀬裕華がアホの子みたいに顔にクエッションをうかべる。


「イケメンを捕獲?」

浜倉沙音はあきれて清野かえでのように怒りだす。


「ゆー先輩を暴走防止に捕獲します。カクホです」

「イケメンってだけで、捕獲してどうするんですか?」

「ニートやホストやペテン師だったらどうするんですか?」

「そもそもイケメンの7割は詐欺師なんです。顔がいいから、なんでもオッケーさせちゃう詐欺師なんです!」

「ゆー先輩はその隣のイケメンにコーヒー買ってって言われたら買っちゃうでしょ」


「買う、買っちゃう、何なら自販機のコーヒー全部買ってあげちゃう」

頭がポーとしている裕華は真正直である。


「それがダメなんです。詐欺師はコーヒーから徐々に要求をあげていき、最後は現金一千万円持ってくんです。ゆー先輩は簡単に貢がされます!」


「えぇ~そんなことないよ~」

恋する乙女チックな裕華は両手をグーにしてほほにあてる。

首を左右にふって、歌織と沙音にかわいく、おちゃめにお願いする。


「協力して!?」



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