せや京都へ行きまっせ③
「「おことわりします」」
「先輩がちゃんと結婚できそうなお相手なら協力しますけど、詐欺師なんて協力できません」
浜倉沙音はイケメンを勝手に詐欺師と断定する。
イケメンアレルギーのように全力で拒否する。
「詐欺師かどうかはわからないですけど、知らない人に新幹線で話しかけられるのはけた違いに迷惑です」
「警察よびたくなるくらい迷惑ですから、やめときましょう」
佐崎歌織は実体験からくる、怨念をこめて訴えた。
「私みたいな美少女アイドル声優に話しかけられて、迷惑なはずないでしょ」
裕華は本気でまじめに率直に言う。
歌織と沙音は開いた口が塞がらない。
「美少女アイドル声優って自分で言います?美少女って、29歳で美少女って図々しくないですか?」
沙音は裕華をズバズバ切る。
「27歳の私でも美少女とは名乗れないですね」
精神は17歳の歌織が大人ぶる。
「あ~もぅ、はいはい、美女でいいから」
裕華はなげやりにでも認めて、早く本題に進みたい。
「「美女って…」」
「もうそれはいいから手伝って!隣の席が空いてるから、ちょっとどっちか話に来てよ」
「いやですよ、指定席なのに行けるはずないじゃないですか」
歌織が意外と常識的な事を言う。
「2人とも指定席のチケットあるから、ちょっとだけ席を変わるくらい大丈夫だって」
裕華は恋愛が絡むと、あいかわらず常識がすぐすっ飛ぶ。
「ダメです。ちなみに、ゆー先輩がチケット買った時、イケメンの隣は空いてたんですか?」
この場で最年少の沙音が誰より冷静にお断りの条件をさがす。
歌織と沙音を見据えて裕華が、重々しく口を開く。
「売り切れてた、けど横浜を過ぎても誰も来ないから名古屋までの1時間18分が勝負よ」
「「絶対にムリ」」
「そんな購入済みの席に間違っても座れません」
「そもそも、私たちが隣に座っても、お手伝いなんてできませんよ」
2人が即座に拒絶する。
「2人ともフォロワー100万人オーバーのアイドル声優じゃない。隣に座ってアピールしたら向こうから声をかけてくるでしょ」
「そこを私が狙い撃つ」
裕華が手でピストルを作り、片目を閉じて狙いすました空砲を放つ。
後輩は井ノ瀬裕華の空砲に、いつもの空回りを予感した。




