年末年始
コガちゃんがノロケまくって、お茶会は終了した。
怒り、悲しみ、理不尽、不合理、到底なっとくできない問題を最後は愛で全てひっくり返された。
歌織は家に帰って、どっと疲れた。
原因は本人にもわからない。
けれども、確かな疲労が歌織にのしかかった。
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翌28日 年末
一般的には大掃除やおせちの準備やらをで大忙しである。
歌織の実家も朝から母が大掃除を行っている。
歌織はダルそうに自分の部屋と荷物を片付け、早々に切り上げる。
「自分の部屋が終わったらこっちも手伝って!」
母は例年と同じセリフを言うと、歌織からも例年のセリフが返ってくる。
「年明けに新番組のアフレコがあるから、台本読みしないといけないの」
歌織は華麗に大掃除を回避する。
お正月の飾りつけ、おせちづくり、大晦日の買い出しも全て華麗に回避して、年末のテレビ番組を家族と笑いながら見る。
母親に年越しそばを目の前まで運んでもらい 「いただきます」
ズルズルそばを食べながら大笑いし、団らんする。
母親が心配そうに見ている中、歌織は爆笑を続ける。
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歌織はアイドル声優としては100点の年末年始を過ごした。
何もない、なさ過ぎて逆に疑われるくらい何もなかった。
家族は27歳の娘の将来を心配するが、本人はいつまでも17歳の気持ちだった。
2日から友達と京都に1泊2日で旅行に行くと聞いて、家族は邪推し喜んだ。
「行ってきます」
2日の早朝から歌織は東京駅に向かって出発する。
「いってらっしゃい」
母がニヤニヤしながら手をふる。
父は複雑そうな表情でうるんでいる。
「今度、友達を家に連れてきてね」
母は微笑みながら歌織を見送った。
東京駅に着くと、浜倉沙音と井ノ瀬裕華が先に到着していた。
「ゆーぼう先輩わざわざ見送りに来てくれたんですか?」
歌織が2人のもとに駆け寄り、尋ねると意外な返事が返ってきた。
「結婚相談所を追放されました」
井ノ瀬裕華は苦々しげに唇を噛んだ。




