表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/92

こがちゃん

翌日、歌織はこがちゃんとお茶をする。


「ひさしぶりー元気?、結婚式の準備で忙しいところ、ありがとうね」


「元気元気!こっちこそ、歌織も年末の忙しい時にありがとう」

手入れの行き届いたまっすぐな黒髪を黒眉が上品に栄えるように揃えられたショートボブ。

苦労を知らなそうな純粋できれいな瞳。

アイドル声優と並んでもまったく遜色(そんしょく)ないコガちゃんだった。


駅前の喫茶店で、いつものジャスミンティーに口をつける歌織。


コガちゃんは園児の頃からダンス教室に通っていて、小学生から始めた歌織よりダンスの先輩だった。

歌織より2歳年下だが、同じクラスでレッスン、発表会等を通じて親友となった。


子供っぽい歌織とクラシックバレエも(たしな)む大人っぽいコガちゃんは年齢差を感じず、自然と親友になった。


「婚約おめでとう」

歌織がお祝いの品を手渡す。


「ありがとう~、早くない?ビックリするわ」

コガちゃんは本当に驚きながら嬉しそうに受けとる。


「結婚式の二、三ヶ月前に渡すのが良いって聞いてたんだけど、その頃はライブで会えるかわからないから」

「まぁ~早い分にはいいかなって?」

「コガちゃんも式の前は大変だと思って!」


久しぶりの親友に歌織はいつも以上にリラックスして素を出せた。


「大変だよ~、結婚式の招待状を出すのに、いちいち連絡してから招待状を出すんだよ。招待状で出欠をとるのに、その前にわざわざ連絡してさ」

「じゃあ招待状いらないじゃんって思った」


コガちゃんも久しぶりの親友にリラックスして普段のストレスを発散する。


「え~そうなの?そんなめんどくさい事するの?」


歌織は初めて聞く話に興味津々で身を乗り出す。


「そうなの、いつもSNSの出欠確認アプリを使ってるメンバーに電話して、確認してから招待状を送るの!」


歌織が食いついてきたのでコガも身を乗り出してヒートアップする。


「何それ、意味わからない」


歌織は予定もないのに文句を代弁する。


「そーなの、意味わからないでしょ!他にも衣装変えのレンタルドレスが十万円で、デパートのイベントの時、中古ドレスが三万円なのよ」

「でも中古はダメだから新品かレンタルドレスにしろって義母が言うの」


自分の代わりに歌織が怒ってくれて、嬉しくてたまらなそうなコガちゃんが言えない本年を吐き出す。


「は?なんで?」

歌織は少し怒りだして、キレぎみだ。

アイドル声優失格のドスの効いた声でにらんでしまう。


「縁起が悪いからだって」

コガは歌織の顔を気にせず、心底嫌そうに両手を広げる。


「何それ~、レンタルドレスも中古ドレスも変わらないでしょ」

歌織はコガちゃん以上に怒ってテーブルを指でトントン叩く。


「そうよね~も~いちいちメンドクサイったらないわよ!式の半分はメンドクサイわよ」

歌織に伝染されたか、コガちゃんも思いだしイライラを発動しだした。


「え~、大丈夫?旦那とケンカにならない?」


「なるなる、お義母さんの前でずーとニコニコしてるから、反動で余計にケンカになる!!!」


旦那のワードで完全にコガちゃんはキレた。


「え~あたしだったら、結婚式の前に別れちゃいそう」


歌織も心配しだしてフォローに回る。

本当に結婚式の前で別れそうに思えてきた。



あはははは

コガちゃんは視線を歌織から遠くに外して幸せそうな顔になる。

「でも、このめんどくささが結婚するって感じでいいのよ」


いきなり年下に女性として完敗した気がして歌織が真っ赤になる。


『負けた?何が??いやいや、勝ち負けではないし。なんだろう?』

自分が何をどう感じ、どう思ったか、歌織自身わからなくなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ