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天国②

歌織のソロデビュー曲が流れる。


観客の大きな歓声があがる。


「かおりーーーー!!!」


「ゆうかーーー!」


「かおりーーーーーーーーー!!!」


「かおりーーーーーーーーーーーーーー!!!」


「かおりーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


「ゆうかーーーーーー!!」


「かおりーーーーーーーーーーーーーーー!!」


「かおりーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


競い合うように観客が次々と推しの名前を叫ぶ。


認知をもらう為に普段の100倍の声量を張る。


観客の声援を聞きながら、2人は左右からステージに走り出す。


「わぁあーーーーーーーーーー」


会場に野太い声が響く、名前のコールが登場前の数倍上がる。


歌織が手をふると、割れんばかりの歓声があがる。


2人がステージ中央にそろい、手を振るだけで、歓声が収まらない。


先程までくもった表情だった2人が、自然な笑顔になった。


歌織と裕華は一瞬、目があってほほ笑む。

自然と手を握り、シンクロしながらタイトルコールする。


「「佐崎歌織のSure!up!&Christmas special with 井ノ瀬裕華へようこそー」」


観客から爆音があがる。


歌織と裕華は最高の笑顔で観客の声援に応える。

憂鬱(ゆううつ)だった気分が全てなくなり、楽しくてしょうがなくなる。


「今日は盛り上がって行きましょうー」


「おーぉーーー!!!」

歌織の一言に会場の全員が倍以上の熱を返してくれる。


「じゃあ、まずはこのコーナーから」

井ノ瀬裕華が会場のボルテージを見ながら絶妙のタイミングで進行する。


「「歌織と裕華のミラクルクッキング」」


「料理がまったくできない佐崎歌織と」


「クッキングスクールに行って、餃子だけ作れるようになった井ノ瀬裕華がお送りする」


「「奇跡の料理教室」」


「料理できないコンビがクッキングスクール講師となり、奇跡の料理をみなさんに伝授します」


「なお、生徒のみなさんが伝授された料理を食べて、腹痛・吐き気・めまい等の症状がありましても、一切責任を負いません」


「「ご了承ください」」


「料理に関する苦情は受け付けておりません。ただし、料理についての希望はメールで受け付けております」


「そのまま使える具体的な希望なら読まれやすいです」


「ぶっちゃけ、カレー希望とかは採用されません」


「希望という建前のレシピをどしどし送ってください。みなさんのメールにかかっています」


歌織と裕華が交互に読み上げる。


「ちょっと待って、台本に書いてるから読んだけど!餃子だけってどういうこと?」

井ノ瀬裕華が笑いながら、抗議する。


「そうですよ!ゆーぼう先輩は餃子も作れませんよ」

手をつないだまま言い放つと裕華がつないだ手を大きく振り上げて切り離す。


「作れるわ!ちゃんとクッキングスタジオで餃子と天津飯の作り方を習ってきたから!」


「習っただけで、作れる実力が先輩にあると?」


「あるよ、あたしのSNS見てみ、パーフェクトな餃子と天津飯があるから」


知ってるーーーーー!!!!

観客から優しい声援が上がる。


「うそ嘘ウソ!クッキングスタジオで作った時だけですよね、上手にできたの」

「習って一ヶ月後に作った時、ひどいの上げてたじゃないいですか」


ワハハハは、と観客から笑い声が響く


「みんな知ってるよね??」

歌織が問いかけると、ちらほら知ってるーという声が上がる。


「ほらー」

自分と同じところに裕華を連れ戻し、歌織は満足気だった。


「えぇーー?裏切ったなー、アウェイか?ここは?」

裕華は近くから遠くの観客まで全てを指差し、あおる。


「あたしの番組なんだから、アウェイに決まってるじゃないですか?」

「クソー!!!アウェイだった」


大きな笑い声が会場に響く。


「でもさ!すごいコーナーだね?クッキングスクール講師が生徒からレシピを募集してるの?」

コーナー初体験の裕華がさっそく矛盾をしてきする。


「ちがいまーす。生徒の希望を募集して、希望にこたえて実演してるだけです。レシピの募集はしてません。」

歌織は定番のやりとりをする。


客席からは笑い声が上がる。

何度も見た初ゲストのお約束のやりとりを観客は初見のようなリアクションで返してくれる。


「では、今日はChristmasスペシャルバージョンという事で私、歌織の苦手な納豆を美味しく食べれるレシピと」


「私、裕華が苦手なシイタケを美味しく食べれるレシピ対決です」


「「苦手な食材を歌織先生と裕華先生がそれぞれ調理し、たくさん食べれた方の勝利です」」


コールの後、大きな拍手と歓声が上がった。



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