天国①
翌日、12月26日土曜日。
今日は佐崎歌織のラジオ番組イベントが2回まわしで行われる。
第1回 開場12:00 開演13:00 閉演15:00
第2回 開場17:00 開演18:00 閉演20:00
「おはよ~ございます」
死にそうな様子で挨拶しながら、井ノ瀬裕華は控室に入室する。
「おはようございます。ゆーぼう先輩。顔ヤバイですよ」
「歌織も大概ヤバイわよ」
2人とも明らかに睡眠不足の顔を合わせる。
「昨日は最悪な1日でしたね」
歌織も疲れた様子で話しかける。
「歌織はまだいいわよ、あたしは昨日帰った後、結婚相談所から電話があって紹介できる人はいませんって言われたのよ」
裕華は椅子に座ってしかめっ面で話しかける。
「えーー!ダメだったんですか?」
「ダメでした。プロフィールの変更してくださいだって」
空気が重い、最悪の状態でイベントを迎えようとしていた。
元「STANDStills」の他のメンバーがいたら、違ったかもしれない。
しかし、今日は2人だけのイベントだった。
直感型の2人で盛り上げるはずのイベントが始める前からコケそうな状態になってしまっている。
猪突猛進する2人が揃って前日に大ダメージをくらったので、イベントは大ピンチとなった。
「佐崎歌織さん、井ノ瀬裕華さん、リハお願いします」
スタッフから明るく呼び出される。周りの大人が一生懸命に明るくふるまうが2人の空気が重い。
「OKでーす」スタッフからの指示を最低限にこなすが、2人の笑顔はとても硬かった。
感情がすぐに表に出る2人を盛り上げる事の出来るスタッフはいなかった。
粛々とリハーサルを終え、スタッフの心配の中、イベント本番が始まる。




