荒野③
「ミ~ーーちゃ~ーーん」
歌織がミーちゃんにフライングダイブハグを披露する。
ミーちゃんは慣れたようすで歌織のタックルを回転しながら受け流す。
ミニマムな歌織は楽々と持ち上げられる。
ミーちゃんはいつも通り、とてもパワフルなヒロインだった。
「ミーちゃ~ーーん」井ノ瀬裕華は自分のウェイトを自覚しておとなしく抱きつく。
ミーちゃんもビョンビョン跳ねて、十年来の親友に数年振りにやっっと会えたようなフィーバーぶりである。
「イェーイ」ハイテンションでパシャパシャ、写真をとる。
いろんなポーズで写真をとってからようやく落ち着いて、握手する。
「ありがとうございました」スタッフの制止が入ってようやく2人が手を止める。
名残惜しそうに手を振り、ミーちゃんハウスを後にする。
「すっごい、写真がいっぱいですよ!これSNS上げていですか?」
歌織がスマホの写真をスワイプしながら見て言う。
「かわいい~ーー」井ノ瀬裕華ものりのりで言う
「でも、いまSNSにアップしたらファンが殺到して大変じゃない?」
裕華がふと冷静になる。
「帰る前に上げよう、何時に帰る?」
「明日、あたしのラジオ番組イベント日だから、花火を見たら帰りませんか?」
「そうしよっか」裕華が歌織の提案を受け入れる。
「じゃあそろそろ、チュロスとアップルシナモン食べに行きましょう」
歌織はビョンビョン飛びはねて、早くお目当てのワゴンに並びたそうにする。
「はいはい、行こっか」
裕華がおとなしく、歌織について行く。
「おいしーー」
目標を達成した歌織が歓声をあげる。
井ノ瀬裕華にお酒を飲ませる隙をあたえず、ジェットコースターに並ぶ。
キャーキャー 聞こえてくる歓声。 怖がる、歌織。 楽しむ、裕華。
その後、ランタンルームに行ってお約束のやりとりをして、
コーヒーカップのくるくるするやつを乗りに行く。
日が沈み、ライトアップされたスポットを見つける度に、はしゃいで写真をとる2人。
「とりますよー、ハイチーズ」
カシャ
「そろそろ写真をSNSにアップしていいですか?」
歌織はさきほどから何度も同じこと聞く。
「まー、そろそろ花火の30分前くらいだからSNSに上げるか」
裕華がついにオッケーを出す。
歌織がテキパキアップして、次の行動にうつる。
「花火の後だと混むから今のうちにお土産買いに行きませんか」
パークの歌織は普段とうって変わってリーダーシップと行動力を発揮する。
「そうね、そうしよっか」裕華はおとなしく、ついて行く。
人通りの少ない道を選んで、エントランス付近の一番大きいショップに向かう途中、壁から突然、スマホを手にしたイケメンが出てくる。
イケメンは遊園地に革靴、フォーマルスタイルで、高級時計をつけている。
突然現れたイケメンの出てきた壁にはドアノブはない。
おどろいてマジマジ見ていると、それに気がついてイケメンが歌織と裕華のもとにやってきて、問い掛けてくる。
「佐崎歌織さんと井ノ瀬裕華さんですよね」
遅くなってすみません。
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