デート結果⑤
「あたし時間ないんです。この後10時入りのアフレコなんでちゃっちゃと話してくれませんか?」
清野かえでは笑みをたやさず、眉間をひくひくさせる。
裕華の両肩に力強く両手を置いて、まっすぐに見つめる清野かえではすさまじいオーラを放っていた。
「……はい」
さすがの井ノ瀬裕華も反省した様子を見せる。
「でも、デートはちゃんとまじめにやったよ、あたしは何も悪いことはしてないよ」
「じゃあディナーの後のプレゼントは何を渡したんですか?」
歌織が少し残念そうにする。本気で婚姻届をプレゼントしたい様子だ。
「普通にマフラーとエコバックよ」
清野かえでが井ノ瀬裕華を凝視する。獲物を狩る肉食動物のようだ。
「本当にそれだけですか?」
かえでのすさまじい眼力で裕華の背筋がピンと伸びるが、顔をそむけてしまう。
「他にもあるんですね」
ドスのきいたかえでの声に裕華だけでなく歌織まで身がまえる。
母親にかくしていた0点のテストを見つけられた、子供のように頭をかかえる。
裕華はちらっとかえでを見るがすぐに視線を外す。
清野かえでの殺気、覇気、圧迫感がすごすぎて裕華は下を向いたまま、ぼそぼそしゃべる。
「エコバックは本の付録です」
「え?何?」
イライラしだした清野かえでが不機嫌に放つ。
「クリスマスプレゼントにマフラーと本の付録のエコバックと本をあげました」
裕華は下を向いたまま大声で叫んだ。
歌織はうろたえる。
追い詰められる裕華を助けたいが、自分の助け舟は確実に沈む。秒で沈む自身がある。
歌織はゆっくりと目を閉じてチャンスに備えることにした。
清野かえでは両手組んで前のめりになりテーブルに肘を置く。
下から裕華を見上げて右手の人差し指でテーブルを“トントン”と一定のリズムでたたき続ける。
「で?」
「はい」
「で?」
「はい」
「何の本を渡したんですか?」
「あの~すっごくかわいい猫のキャラクターのエコバックが付いた本です」
「何の本を渡したんですか!!」
清野かえでがキレた。
「ひぃいー、結婚情報誌です」
井ノ瀬裕華は完全に先輩の尊厳を失った。
「あれですね!おまけが本編ってやつですね」
歌織の助け舟はやはり秒で沈むようだった。
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