デート結果③
2人の冷たい視線が井ノ瀬裕華に向けられる。
「何もやらかしてません。何もやってないと思うし……たぶん、大丈夫よね?」
目線を左下のコーヒーカップに向けて、両手を組んで人差し指をソワソワさせながら、井ノ瀬裕華が自分に言い聞かせる。
「心当たりはないんですか?」
「まったくない、ラジオの時より回せたし、盛り上がった」
「それがダメだったんじゃないですか?」
裁判長かえでは疑いのまなざしで証人尋問を始める。
「どんなデートだったんですか?」
「えっとね~」
裕華は両ひじを逆ハの字にかわいく折って、両手をグーにしてほほにのせる。
顔をワンフレーズずつ左右に15度ゆらしながら動画ラジオのようにしゃべる。
「ディナーをまったり食べるでしょ、バーでゆっくりお酒を飲むでしょ、そんでフラレて帰るでしょ」
「えぇええーーん」
テーブルにつっぷして明るく泣く。
「そういうところがダメなんじゃないですか?本当に悲しんでますか?」
清野かえでが素朴な疑問をなげかける。
「悲しいに決まってるだろ、こちとら結婚する気マンマンで振られたんだぞ」
「そうですよね、クリスマスイブにデートして振るとかありえないですよね」
歌織は裕華を擁護する姿勢を見せる。
「だよねー、ありえないよね」
人差し指を無意味に立てて上空を指さし、歌織の援護に感謝する。
清野かえでは2人にドン引きする。前髪を手で横に何度も流しながら言葉を選ぶ。
「私もありえないと思いますし、言っちゃなんですけど、男の人からしてもありえなかったと思いますよ」
「よっぽどの事があったんじゃないんですか?」




