決戦前①
脱衣所で服を着た2人は鏡の前で椅子に座って各々準備する。
「ドライヤーが有料っておもしろいですね」歌織は10円玉を積み上げてドライヤーで髪を乾かす。
「あんたもう若くないんだから先にスキンケアしなさいよ」
裕華は濡れた髪をタオルでまいたまま化粧水と美容液をびちゃびちゃかける。
「持ってきてないから借りてもいいですか?」
「まぁ~いいわよ。はい」
「ありがとうございます」歌織はドライヤーを中断してスキンケアを始める。
2人が無言でお手入れに集中する。
裕華は顔に猫じゃないパックを被せてヒアルロン酸を注入する。
顔にパックを被せたままタオルドライした髪にヘアオイルをつける。つけ終わると持参した業務用ドライヤーで髪を乾かす。そしてまたヘアオイルをつける。
歌織は化粧水と美容液を塗り終わってチラチラ井ノ瀬裕華を見るが声をかけることが出来ない。
井ノ瀬裕華 はコンサートやイベントの時よりも集中している。
歌織はドライヤー持ってきてるのあるなら貸してくださいよとかどんだけ厳重にお手入れしてるんですかとか思ったが口に出すことは出来なかった。
鬼気迫る表情で入念に準備する井ノ瀬裕華をおちょくることは出来なかった。
ドライヤーが終わりパックを取り除き乳液を塗り始める。
鏡の前に座ってすでに30分以上が経過したころ、手抜きスキンケアの歌織はヒマを持て余し席を立つ。
「先に休憩所へ行っておきますね」
歌織は脱衣所を出てテーブルとイスのあった、フロント横の小さな休憩所に向かう。
入浴券を買った券売機は食べ物と飲み物の券も売っていた。
歌織は迷わず300円を入れてソフトクリームを購入して休憩所でパクパク食べていた。
「いいなぁ~」井ノ瀬裕華がやっと準備を終えて休憩所に入ってくる。
「先輩はこれからクリスマスディナーでもっといいの食べるじゃないですか」
「そうなんだけどさ、まだ6時15分じゃん。お腹すいたしあたしも一口食べておくわ」
井ノ瀬裕華が券売機で買い物をして帰ってくる。
右手に生ビール、左手にミックスナッツを携えて歌織の待つテーブルに戻ってくる。
「おっさんじゃないですか」
裕華を見た歌織が見たまんまの感想をのべる。
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