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紅の救世主  作者: メアー
6章.世界の謎に迫れ
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45.遺跡調査開始。





オルニカに対し、更なる被害を与えた一行は、先日まで感じていた殺気から逃れる事が出来た。



表向きに活動をしていた重役まで死んだ為、かなりの被害が予想されるが、悪の組織が活動を停止する利点を考慮すれば、些細な問題と言えるだろう。



密輸、汚職、違法薬物、横領などの見えない経路が、まとめて破綻したのは、彼等の予定にはなかったが、これによって王都では、多くの問題が浮上し、官僚や神官を始めとした権力者の不正が明るみとなった。



組織における頭脳が無くなったことで、欲をかいた部下達が、その引き継ぎを行う、しかし、まともな引き継ぎなしで悪事を継続すれば、必ず何処かに綻びが生まれるのだ。



それによって、以前より目をつけていた案件が、軒並み尻尾を出した事で、現在カイマンとクラハドルは浄化作業に追われている。



そんな事とはつゆ知らず、豊達は火山地帯に存在する古代遺跡へと向かっていた。

遺跡監視官の居る関所を通り、山道を抜け、石造りの大きな建造物へと辿り着いた。




「遺跡が山と同化しているのだろうか?」


豊の疑問通り、石造りの遺跡の大部分は山の中に埋もれ、多くの木々が根を張っている。まるで人の侵入を拒むかのようであった。



「よし、手筈通り、俺はここでノーブルウインドちゃんの世話をしておく。馬は繊細な生き物だからな。ひとりぼっちにはしておけねぇ。」



「分かった。何かあったら、ノーブルウインドを連れてユーバーグまで逃げてくれ。」



「よぉし!運が良ければお宝に会えるかもな!!待ってろオレのオーパーツ!!」



探索組は必要物資の用意を行い、レフは天幕を張って、陣地を敷くと、軽く食事を取って武装を完了させた。



豊達が遺跡の入り口に差し掛かると、壁には法則性のある記号が残されている事に、冥王が気が付いた。



『救世主、これは【超越者達の文字】ではないのか?』



「あぁ、【神界文字】だ。使われている文体や言い回しは若干異なるが、以前に雪山で見たものと同じだろう。」



「ユタカは古代文字が読めるのか?国ではまだ解析されていないって聞いてたけど……。」



「伊達に世界を一度救ってないからね……。どうやら内容は……。【地の力を統べる、この地の……己が欲を縛り、真の目的を……。】所々風化していて読めない……。【我が意志を継ぐ者は……災厄を…………すべし。竜の子らよ………………いだせ…………。】」



「オレには何のことかさっぱりだな……。遺跡の調査は、辺境では盛んらしいが、オレらの様な一般人に、詳しい情報は流れて来ない。ここは慎重に事を進めて行こうぜ。」



「カイマンの話だと十数年前までは、この遺跡は賊に荒らされていたらしいが、誰一人として帰って来れず、古代の宝を持ち帰った者は居ないそうだよ。」




「マジかよ……。恐ろしい話だ……。」



一行は一歩ずつ確実に、遺跡内を進んだ。

広い部屋をいくつか抜けると、湧き水が存在する空間が見つかり、そこで休憩を取った。





「ライ、古代遺跡……。というか、歴史に準ずる逸話や御伽噺……そういった話はないか?もしかしたらそこに、この文章における解決のいとぐちがあるかもしれない。」



「そうだなぁ……。先日言いかけてた話で……。竜が人々の争いを見て嘆き、それが雨になった【竜の涙】って話があるんだけど」



「あぁ、カイマンの屋敷で読んだ本の中に、そういうのがあったな……。それがどうかしたのか?」



「リバレスティオの人々は、竜から生まれたとされていて、長い間、竜から啓示を受けて過ごしていたんだ。それが、【竜の子】の意味なんだと思うぜ。」



『なるほど、竜から生まれた人類を指して【竜の子】とするのか。』



「その話だけど、人々がふたつに分かれて争った時、何で竜の言葉は聞き入れられなかったんだ?話し合いが出来なかったから、嘆いたんだろう?」



「オレの婆様から聞いた話だと、竜と人の言葉を、誰かが奪ったんだと……。何でそんな事になったのかまでは分からないけど……。」



『これは、まだ情報不足だろうな。この話は一旦保留として、先に進むとしよう。』



ライはランタンに油を足し、先頭を歩いて行った。遺跡の深部には生き物が入り込んでいる様で、独自の生態系を築いている様だ。


天井は高く、道幅も大人三人分と広い。



「なんで遺跡の中なのに草木が生い茂ってるんだ?床が芝生みたいになってるぞ。」



「恐らくは天井に生えている、発光する苔の所為だろう。光の種類は分からないが、見る限り、通路の奥までびっしり生えている。これは人の出入りがあった十数年では、説明がつかない程に、遺跡内部が侵食されているな……。」


周りを見渡すと、床や壁に使われている石材の隙間には、様々な植物が自生している。道なりには排水用の溝や、空気口も備えられている為、深く潜るのにも支障はない。


更に奥まで進むと、道が枝分かれしているが、天井部には神界文字で案内板が記されている。


「確かに、これが読めないと必然的に、迷宮になるだろうなぁ。」



遺跡内部の道は三択式であり、神界文字が読めない侵入者向けに、迷路や行き止まりなどで構成されている様だった。あからさまに【迷い道】などと記されていたりする。



「知恵なき者に、叡智の力を与えるべからず。永遠に迷いて、己が愚を知れ。か……まぁ、愚か者はこの忠告を読めないんだけどね。」



「作った奴は相当な偏屈野郎だぜ。きっと友達が居なかったんだろうよ。」



『ほう……どうやらこの地点までは、勘でたどり着いた奴がいるらしい。』



奥へ奥へと歩み続けると、冥王が亡骸を発見した。



「具合からして十年数年は経過しているな、どれどれ、手記を読んでみよう。」



風化しているが、かなりの装備を有しており、手掛かりの手記も残されているが、それによると、最後には足留をくらい、餓死したと記されている。



「この遺体、脚に添え木が巻いてあるぜ。どうやら怪我をして、この場から動けなくなったんだろうな。」



「え〜っと……。何故、私が足留を食らっているのかと言えば……話は長くなる。それは三日前……。遺跡内に潜んでいた生物から逃げ惑い……。」



豊が長い手記を読み上げている間、冥王とライは周辺を物色していた。



『探索の道具は豊富に揃っているな。武器や防具もかなり上等な物だ。』



「こんな所にあっても仕方ないよな。使えそうな装備は、オレがまとめて再利用してやるとするか……。おぉ、これは中々立派な大盾だなぁ……。よっこらしょっと……!」



「あっ、ライ……!まっ……!」



【ガコン!!】【キュルキュル!!】

【ズズズズ……!!】【バクンッ!!】


ライが亡骸の装備を外そうと持ち上げた時、大きな音と共に罠が発動した。


あたりの床が全て抜け落ち、避けられない程の大規模な落とし穴である。



「うわぁぁぁぁっっ!!!」



一行は抵抗も虚しく、光の届かぬ闇の底へと滑り落ちていった。





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