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SOS 099 vsアルマ8

「(甘く見ていたな……)」


 アルマが怒涛の攻撃術を捌きながら、

動きが鈍くなった右手を意識する。


 見覚えの余りない二人が、

アルマの前に立ちはだかっていた。


 単純に技量もさることながら、

相性が最悪だった。

 黒い塊のような女は目と鼻の先で、

高速機動の肉弾戦を仕掛けてくる。


 一方、細身の女は細剣の波状攻撃を

中距離から雨霰(あめあられ)のように

浴びせかけてくる。


 そして、不思議なほどに

息がピッタリと合っていた。

 意識を切り替える隙間もない。


 得意な領域ではない接近戦で、

アルマの動きは年齢を加味しても驚異的の

一言であったが、無理は如実に現れていた。


 攻撃を防ぎ切れなくなったアルマに

少しずつ攻撃が入り始める。


 表向き言葉も視線も交わさずに、

カイケンとグレースはアルマが足を

踏ん張り切れなくなった瞬間、

それを好機と捉えて一撃に全力を注ぐ。


『《双咢》』

「《羽重閃》」


 油断も隙も無く、手加減もない

本気の一撃にアルマは感動すら覚えた。


「(今世の女は強いな)」

 そして、奥の手を出す。


「《離創》」


 カイケンの一撃もグレースの斬撃も

空を切る。

 アルマの存在が急に質量を

失ったかのようにモヤとなって霧散した。


『!』

「?」


 つんのめる二人の耳元で、

いや、意識の隣で、老人の囁く声が響いた。

「俺の奥義だ。少し弄るぞ?」


『いっ!?』

「ぎっ!?」


 何が起きているのか、傍目にも自身でも

全く判断が付かない異常事態が発生していた。


 ただ、カイケンはその超感覚で、

自分に起きている現象を

ある程度分析出来ていた。


『(コレは憑依術?……違う、

物理的に異物を流し込まれている

感じ、アルマのおっさんそのものが

直接意識と身体を奪いに来てる?)』


 目から口から鼻から耳から皮膚から、

浸潤するようにゾワゾワと自分の身体を

浸食してくる違和感に、カイケンはおののく。


 そして俄かに、アルマの固有能力の

本質に触れる。


「お前さんは面白いな。

本気を出せば、俺に勝てたんじゃないか?」

 意識のすぐそばで囁くアルマに、

カイケンは心の中で反発する。


『(たらればの話は好きじゃ無いですね)』

「気が合うな、俺もだよ」


 グレースはすでに気絶している。

恐らく経験値、慣れの差だろう。


 だが、カイケンにも勝算はあった。

膳の《融合化》が効いている間は、

アルマの浸食も一定以上は進めない筈だ。


 けれど、そう考えた矢先に

カイケンとグレースの繋がりが

急速に消えていくのが分かった。

『(あいつ、どういうつもり!?)』


「俺に風が吹いたようだな」

 アルマの存在がカイケンの意識に

覆い被さってくる。


『まずい! まずい! まずい! まずい!』


 焦るカイケンに、天の声が聞こえた。


「こっちよ! おっさん!」


 愛刀を携えたヒナギクだった。

今更刀での攻撃など痛痒も感じないアルマは

ヒナギクを無視して二人の浸食へと意識を向ける。


「《反逆鏡》」


 突如、アルマの身体に劇痛が走る。

ただ、今のアルマに身体など無い。

だからそれは、感覚的な激痛であった。


「ぐぅううう!?」


 一度は無視したヒナギクへと意識を移す。

ヒナギクの持つ愛刀は

鮮やかな褐色に変質しており、

ヒナギク自身も雰囲気が違う。


 ヒナギクの目は焦点が合っておらず、

どこを見ているかも定かではない。


 ただ、間違いなくすでに《無形》

そのものになっているアルマを

その有形の武器で害したことは確実だった。


「(コイツ!? 何をした?!)」


 アルマはその浸食する手を止め、

ヒナギクの攻撃を注視する。


 ヒナギクは両手に持つ双刀を無造作に振るう。

普通は空を切るだけの攻撃だが、その刃に

沿うように、アルマの存在意識に亀裂と

激痛が走った。


「がぁあああああ!?」

 アルマは危険を感じる。

存在の危機だ。


「どういうことだ!? 何故切れる!?」

「刃物は切るためにあるのですよ?

切れない道理がどこにありますか?」


 ヒナギクは焦点の合わない目で

アルマだったものを見据える。


 いや、反対だ。見えないものを見る為に、

物理的な焦点がズレているだけだろう。


 その証拠にどういうわけか、

アルマとヒナギクはお互いに視線がぶつかる

意識を感じ取った。


「やっと互角ですね」

「ふざけるな! お前の方が強いだろう!」


 アルマは久々に叫び声を上げた。

 

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