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SOS 092 vsフランドル7

 リオンの選択は、まさしく正しかった。

リオンの術式の特性は広範囲かつ遠距離であり、

狭範囲かつ近距離を得意とするフランドルの

防御術式を抜くには、いささか出力不足だった。


 その事実を認識したリオンは、

ためらうこと無く、自分の身体に直接付与させる

術式を構築した。


 実践で急遽編み出したにしては、

その術式の完成度は高く、基本出力で優る

リオンの貫手がフランドルを上回ったのは

当然といえば当然の結果だった。


 その時、張り詰めていた緊張が解け、

リオンは無意識に力を緩めてしまう。


 フランドルが息を吹き返したのは、

そんな時だ。


「…………!」


 フランドルは相打ち覚悟で、

最後の力を振り絞る。


 リオンが逃げられないように、

その手の根元を

しっかりと掴んでいる。


「《煉獄》」


 ほとんどかすれて聞こえない術式が、

ハッキリとリオンの鼓膜を振るわせる。


 術式の推移を見なくてもわかるそれは、

いわゆる自爆技だ。


 急速に熱を帯びる一帯。

 リオンもそれに対抗するべく、

防御術式を唱えるが、フランドルの力に

引きずられて上手く構築出来ない。


「……っ!」


 リオンが僅かにし諦めかけた瞬間、

「《不全》」

 オズマットの声が響く。


 すると、フランドルを中心に収縮していた

熱圏の遷移がとても緩やかな動きに変わり、

ついにはほとんど止まってしまった。


「よくやったな、さすがだ」

「いやほんと助かったっす」


 オズマットとピースが交互に誉めるが、

リオンはよくわからない状態で

放心している。


 その放心しているリオンの手を取り、

オズマットはフランドルから貫手を

無理やり引き抜いた。


「ん? 納得していないって表情だな?」


 オズマットがリオンに尋ねる。


「い、いえ、そういう訳では」


「そうか? おーい、ギルマス殿よ、

こっち頼む!」


 オズマットは恰幅の良い青年である

ギルドマスターベントリを呼ぶ。


 ベントリは何も言わずにやってきて、

そのままフランドルへ術式をかける。


「《壁牢》」


 見た目にも頑丈な壁が、フランドルを

ぐるぐると取り囲んだ。


「んじゃ、一時撤退な」


 オズマットとピースとリオンとベントリが

ぞろぞろとフランドルから離れていく。


「え? えと?」


 リオンはこんなだらだら動いて大丈夫なのか

心配しながらオズマットについていく。


「あ、あの先生? 差し支えなければ

先生の術式のことを教えてほしいんですが」


 正直差し支えが無いわけでは無いが、

オズマットはリオンの事情をある程度

聞いてしまった手前、正直に教えることにした。


「あー、ちょっと説明が難しいんだが、

簡単に言えば俺の術式は時間感覚を操れるってことだ。

今はちょうどあいつ(フランドル)

体感時間を落としたってことだな」


「時空間操作……ですか?」


「いんや、違う。

俺は本人の感じる時間の流れに

ほんの一時、干渉するだけだ。

あいつ自身の感覚を

俺から見て遅くしているだけだな。

世界の有り様すら変える、

時空間操作など夢のまた夢だな」


 それでも、リオンに取ってはオズマットの

力の方が自分と比べても圧倒的に

怖い術式だと感じた。


 今のフランドルは棒立ちと

変わらない状態なのだから。


「ま、細かい種明かしは……

また今度な。

ほれ、ギルマス殿の術式でも

ありがたく拝もうぜ」


 ギルドマスターのベントリが声を上げる。

「はい、ではいきますよ~!」

「《解除》」

「《壁牢》」


 オズマットの声に導かれるように、

ベントリは重複術式をかける。


 一瞬、膨れ上がるように見えた壁の繭から

天を突くような業火が吹き出した。


 大音声とともに、ごうごうと火焔の柱状が

屹立している。


 後には消し炭も残らなかった。

 

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