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SOS 091 vsアルマ4

 ヒナギクの攻撃は嵐のような激しさだった。

両刀が術式を少しずつこそげ落とし、

アルマの本体を露出させていく。


 アルマはそれを眺めながら、

相手の技量を推し量っていた。


 ヒナギクの得物は二対の短刀で

細身ではなく中程がやや

でっぷりとした剣だ。

 実用性よりも儀礼的な赴きのある形状で

本来こういう使い方は不向きの筈だ。

 しかし、ヒナギクの攻撃は確実にアルマの

障壁を崩し始めており、そこには

ヒナギクの使用している術式が

大きく関係していた。


「(確か……《逆鏡》と《反鏡》だったか)」


 不意に隙のようなものを見つけてはアルマから

攻撃をしてみるが、まるで捉えることが出来ない。


「(効果の状況を踏まえれば、

これは……銘縛術というやつか?

現役で使える奴がいたのか)」


 永く生きているアルマだからこそ、

ヒナギクの強さの絡繰りに気がつく。


 そもそも神導術とは、一つの奇跡ではあるが

万能の業では無い。

 不得意な術式は個々人で存在するし、

固有術式にまで高めることが出来るのは

それなりの人間だけだ。

 そして、そうして手に入れた固有術式もまた、

完全でも最強でもない。


 まさに神の導く(すべ)であり、

人間では覆すことの出来ない現象なのだ。


 その神導術の中で、

最古式の術式の一つが、ヒナギクの使う

《銘縛術》だった。


 それは簡単に言えば、物に対する特性の付与を

行う術式のことだ。

 ヒナギクは自分の愛刀に、

その術式を施しているとアルマは見破る。


「(しかし、強いとは思っていたが、

惚れ惚れする技量だ。

俺が若い頃なら、ものの数秒でのされているな)」


 老成した感性は足をとめ、棒立ちに

なることを拒否しなかった。

 僅か先を暴風のように掠める剣先を

ほどほどに意識しながら

アルマは次の手を考えていた。


「(普通に考えればこの二人が

討伐の本命部隊で、

あとの二人は補助要因って所だろうな)」


 その推理は概ね正しかった。


「(だとすれば、この二人(ほんめい)のどちらかを

無力化したほうがやりやすいか)」


 アルマはどちらに優先を振るか迷う。

脅威度がはっきりしているヒナギクか、

どちらとも言えないソアラかだ。


 ピシリと、アルマの防御に致命的なヒビが入る。


「(やれやれ、まともに考える時間も無いか)」


 息を吐いて、アルマは術式を呟く。


「《離滅》」


 それはヒナギクの心臓を狙った一撃だが、

瞬間速度と言う意味では、些か不十分な攻撃だった。


 アルマの掌から放たれた一筋の弾丸を

ヒナギクは瞬時に見切る。

 考えるよりも前に身体が切り替えされるが、

不幸にも強者であるヒナギクは

アルマの狙いに気付いてしまう。


 その攻撃は後方支援をしているソアラを狙い撃ちしたものだ。


 普通は位置の特定を防ぐために、

時間経過とともに攻撃地点をずらすのだが、

ソアラはほぼ初めての実践で

舞い上がっていた。

 基礎的な部分が飛んでいる状況だ。


 ヒナギク自身も、ソアラが位置移動を

していないことに気がつく。

 本来であればこの隙にアルマの首を狙うべき

だが、直感の迷いが生まれる。


 ソアラは回避出来るか?

 シルビアは予見出来るか?

 サティは?


「……ちぃ!」


 数瞬にも満たない時間で、

ヒナギクは選択を迫られる。

 彼女を戦慄させたのは、

相手の厄介な術式ではなく、

自分の行動を読み切られたという事実だった。


「いい上官だ。だが幼い」


 無理やりアルマの攻撃をすんでのところで無力化する。

しかし、弾いた後の態勢は最悪の隙だらけとなった。


「まずは一人」


 アルマの声が、頭上から無情に響く。

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