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SOS 088 vsアルマ3

 アルマはぼんやりと仲間のことを考えていた。

仲間と言うには打算と契約と洗脳による関係が

その本質であり、あまり情緒的な感慨は無いが

戦力としてはかなりのものだった。


 フランドルは洗脳で高慢な部分を削ぎ落とし

純粋な戦士としてその実力を

十分に増強させた。

 元々の地力は強いので、

並大抵の武人では勝てないだろう。


 サイエンは正体も言動も不明だが、

底知れない不気味さがある。

 ある意味単純に強い連中より

タチが悪いだろう。

 

 そして、自分。現役を退いたとはいえ、

まだ強者の範疇にいると自負するアルマは

次いで先の少年について考える。


 不可思議な力でこちらを圧倒した、

あの黒髪の少年だ。


 もちろん、その能力の異常性も

気にはなったが、あのサイエンが副産物と呼んだ

あの少年については『出来れば手出し無用で』と

とても曖昧な指示しかしなかったことが

アルマの心に引っかかった。


 何というか、大きな流れに身を任せるような

傍観とでも言うべき指示であり、およそ

作戦とは言えないものであった。


 ただ、サイエンの実力は確かであり、

こうして戦力の分散を

事も無げに行っているのがその証左だろう。


「うん? 向こうから来るのか……

勝算の目処でも付いたか?」


 基本的な作戦としては、あの少年と他の連中を

引き離して、個別戦力で殲滅するという

大味なものだったが、それはそれで的を得ていた。


 アルマが引き受けたこの四人だけであれば

さほど難しい条件では無いからだ。

 もちろん、近衛兵のことなど既に忘れている。


「《風弾》」


 聞いたことが有るような声が

茂みの奥から聞こえてきた。


 初級の術式。伝統のある家系なら、

年端のいかない幼子でも構築出来るような代物。


 煩わしそうに避けるアルマだが、

それは単発では終わらなかった。

 まるで蜂の群れが襲いかかって来るように

途切れのない波状攻撃が始まったのだ。


「おいおい……」

 さすがに避け続けるのは難しくなり、

アルマはさっさと術式で防御した。


「《離壁》」


 《風弾》がアルマに当たる前に霧散する。

力押しで疲労を狙っているのだとしたら、

浅はかな作戦としか言いようが無い。

 しかし、サイエンの情報によれば、

あの金髪の神導力の総量は記録を塗り替えるほどの

もので、だとすればこの作戦もあながち不合理とも

言えないかと一人納得する。


 とはいえ、このままというわけにも

いかないので、アルマはさっさと反撃を開始する。


 単純な攻撃なので。術士の居場所など

直ぐに割れる。


 息を吐くように、自然に術式を

唱えるアルマは目の前に踊り出てくる少女の

存在について全く気がつかなかった。


「《離塵》……な?」

「はじめまして、アルマさん」


 ヒナギクがアルマに一瞬で詰め寄る。


「《逆鏡》《反鏡》」


 恐れを知らないヒナギクは

災厄の目の前で愛刀を抜く。


 その二対の刃が、尋常ならざる速さで

災厄を守る殻を削り始めた。


 咄嗟にアルマは構築した術式を

ヒナギクに向けて打ったが、かすりもしない。

彼女の反応速度の方が圧倒的に早いからだ。


 ヒナギクの背後からくる《風弾》は、

一向にやむ気配が無い。

 なんとそれを全て避けつつ、

災厄のアルマの防護術式を削り続けているのだ。


「こりゃ、とんでもないお嬢さんだな…!」


 アルマが素直な驚きを発する。

その顔に、高揚とでも言うべき色が差し込んだ。


 

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