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SOS 065 飛翔

『この度は姉のカイケンがご迷惑を

お掛けしたようで申し訳ありません』


 恭しく頭を下げるカイケン。


 何のことか分からないソアラは首を

傾げているが、シルビアは仏頂面になっていた。


「名前が同じじゃない。というか、

本人でしょ、あんた」


 シルビアの直球での非難にカイケンは

涼しい顔で答える。


『いえいえ、私は()()ケンです。

先の姉はカイ()()。発音が違います』


「馬鹿言ってんじゃないわよ!」


『末の妹はただのカイケンです』


「なわけあるか!」


 言い合う二人をよそに、ソアラはトールに今更の

自己紹介をされていた。

 トールはギルド重鎮の娘に、ややビビりながらも

先ほどの見事な術式を誉めている。


 素直なソアラはその言葉を疑うこと無く受け取って照れていた。


「ああもう! てゆーか、何であんた達が

ここに居るのよ? てかこれ何!? この乗り物?!

あと、その子、何者!?」


 矢継ぎ早に質問するシルビアに、

ソアラはしれっと答える。


「こちらはカイケンさん。

お父様のお知り合いらしいわ。

あとこの子はカイケンさんが貸してくれた

何だっけ……凄い速い……馬?

で、こっちはゼンくん。

何でも高名な術士の家系らしいの。

多分、そういう理由で召喚されたんだと

思うんだけど」


「そんな理由で召喚されたら、

たまったもんじゃ無いですよ」


 シルビアが呆れる。


「大体、召喚術が禁忌に指定されているのは……

ああ、もういいです別に。

 それより、なんだかえらく仲良くなってるじゃないですか。

あれでしょ。どうせ、揉ませたんでしょう?」


「んなわけないでしょ!」


「じゃあ、吸わせたんですね」


「誰がしますか!」


「それならどうして言葉も碌に通じないのに

そんなに仲良くなるんですか?

 おかしいじゃないですか」


『ああ、それなら実はわたしがこちらのゼン様と

同じ地方の出身でございましたので、

簡単な通訳をさせていただきました。

偶然とは、面白いものですね』


 全然面白くなさそうな表情で、シルビアはカイケンを睨む。

カイケンはどこ吹く風で、話題を切り替えた。


『それより、早くカルマリに戻りませんと

大変ですよ』


「何がよ? もう充分大変な状態だけど?」


 シルビアがカイケンに突っかかる。


『巡幸の日取りが早まったそうですよ』


「「え?」」


 シルビアとソアラが同じ反応をした。


『カルマリは今、混乱の最中にあります

こんなところで油を売っているわけにもいかないでしょう』


 ちなみに、その頃の膳は、茂みの向こうに倒れている

ガジェットを引っ張り出すべく、トールと一緒に頑張っていた。


 シルビアとしては納得できない部分が多々あったが、

カルマリまでの足を確保することは、今の至上命題だった。


 そのため、言いたいことを全て飲み込んで、

カイケンの連れてきた、多足の馬? のような乗り物で

カルマリへと向かうことを了承する。


『さて、準備はよろしいですか? 皆さま』


 カイケンが御者の位置に座り、振り返る。


 ソアラは普通だが、ゼンは怯えている。気絶したままのガジェットはさておき

シルビアとトールはその様子に首を捻る。


『では、出発』


 次の瞬間、馬がほぼ垂直に跳ねて

雲へ届きそうなほど高く飛んだ。


「「「ぎゃあぁぁぁっぁぁぁぁ!」」」


 シルビアとトール、そして膳が叫んだ。


 奇怪な馬? は(ひづめ)から何かを噴射させ、

カルマリへ向けて一直線に飛んで行った。

 






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