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SOS 064 奇怪

「一体何が……?」


 まるで火山が噴火した後のような、

大きな穴がポッカリと開いていた。


 突然奇怪な乗り物? で現れたのは

シルビアの同僚と思われる少女だった。


 一目見ただけでは直ぐに分からなかったものの、

ソアラという呼び名を聞いて、

彼女が戦術ギルドでも名高いサングリッド家の

末娘であることが分かる。


 確かに、噂では記録上の最高値を突破するほどに

内包されている神導力は突出していたという。

 ただ、その膨大過ぎる力を

度々暴発させていたことも有名で、

仕方なしに冒険者ギルドが預かることになったのも

ほどほどに有名な話だ。


 しかし、もしその噂が本当なら、

さっきの術式の見事さはどう説明する?

 士官候補生として、それなりに熟達した

術士の技を見てきたトールでさえ、

言葉にしようもない鮮烈さだった。


「シルビアちゃん! 大丈夫!?」


 ソアラは光の雨を浴びたシルビアに駆け寄る。

アルマと心中するかに思えたシルビアだが、

ボロボロになっているのは服だけで、

身体は既に完全回復していた。


 一通り、自分の身体の状態を検分したシルビアは

未だに解けていない《融合化》中の身体を使い、

思い切り右拳に力を込めた。


「この……バカ―!」

「うわっち!」


 シルビアの右拳が生木を粉々にする。

ギリギリで避けたソアラは、突然の暴力に猛反発した。


「ちょっとシルビアちゃん! なにすんのよ!」

「加減ってもんがあるでしょ!」

「やれって言ったじゃない!」

「死ぬほど痛かったわよ!」


 ギャーギャー言い合う中、ぐったりと奇怪な乗り物?

にもたれかかる膳と地面にへたり込んだトールの

視線がぶつかる。


 思わず、お互いが会釈をした。


「そんなんだから

サングリッド家の火薬庫とか呼ばれるのよ!」

「なんですって―! ムキー!」


 もはや《融合化》も切れた二人は、

それでもなお反目し合うが、

シルビアがそこで大事なことに気づく。


「あれ? あのヤバい爺さんは?」

「……あれ? どこ行ったの?」


 既にアルマは、どういう手品を使ったのか

あの光の雨から逃げ出していたらしい。


 興奮が落ち着いていく頃を見計らい、

奇怪な乗り物? の御者が二人に声を掛ける。


『いやいや、流石でございます。ソアラ様』


 カイケンが気合いの入らない拍手で

二人を労った。


「あ、カイケンさん。本当に助かりました」


 奇怪な乗り物? のお礼を言うソアラに比べ、

シルビアは目と口を大きく広げてその奇妙な

狗仮面を見た。


「あ、あんたどうして! どういうわけ!?」


『はて? どうとは?』


「とぼけないで! カイケンって名前だってそう!

あんたみたいなのが何人もいるわけないでしょ!」


『いえいえ、それがそうでもなくてですね』


 カイケンが緩い感じで答える。


『わたくし、三つ子なんです』


「はあ!?」


 三人寄れば(かしま)しい、とはよくいったものだ、

と膳とトールは人知れず思った。 


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