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SOS 063 乱入

 どこからともなく、音が聞こえる。

それは妙な音で、あまり聞いたことが無い音だった。


 ガシャガシャと音が重なり合い、まるで

地獄の底からせり上がってくるような地響きとともに

急な斜面を駆け上がってくる。


 アルマはそこで初めて驚いたような表情をした。

その存在に、今の今まで全く気が付いて居なかったようで、

目を見開いて振り返る。


「シルビアちゃん! お待たせ!」

「うわわわうああわあ」


 ソアラが飛び出してくる。

どういうわけか得体の知れない多足の動物らしき何かに跨っていた。

 背後にはあの少年がいて、しっかりとソアラの腰に

手をまわしながら目を回している。


 ソアラが少年を上手く懐柔したことに安堵しつつ、

やっぱり胸かとイラつきもした。


「ゼンくん!」

「うえは、はい! うぇ《融合化》!」


 膳は吐きそうになりながら、準備していた術式を展開させる。


「何を…!」


 アルマを見向きもせず、ソアラはシルビアに叫ぶ。


「シルビアちゃん! 立って!」


 その姿を見た瞬間、シルビアは腹の底からふつふつと

何かが湧き上がってくるのを感じた。

 それは、決して不快なものではなく、

熱く、力強い何かだった。


「言われなくても、立ちますよ!」


 その時、ソアラとシルビアの意識が三度(みたび)融合する。


「《離塵》!」


 アルマが両手をかざす。目に見えるほどの濃い神導力が

彼の手に集い、ソアラへと一直線に伸びていく。


「《壁礫》!」


 初歩術式である、(つぶて)の壁を出すソアラ。

ただ、初心者と異なるのは、その大きさだ。


 通常の馬車ほどの大きさの礫の壁をいくつも作り出す。


「な?!」


 アルマが驚愕しながらも、攻撃をする。しかし礫の中に

何かを仕込んでいるらしく、術式が上手く働かない。


「っちぃ!」


 歯噛みするアルマに、ソアラが追加術式を練る。


「《光矢》!」


 最速の矢じりを撃つ術式だ。ただ、数が尋常では無い。


 滝のような光源がアルマへと降り注ぐ。


 ふと、アルマはへたり込んでいたシルビアを思いだす。

二人のやり取りからして、同僚のはずだ。

 このままではそのシルビアもこの矢の雨に穿たれ、

死んでしまうはずだ。


 それに疑問を感じたアルマは、降り注ぐ矢から視線を外し、

ついとシルビアのいた場所を見る。


 シルビアは、先ほどとは別人のような形相で、

アルマのことだけを一心に見ていた。

 いや、正確には、喉元を睨んでいたのだ。


「(獣化!? いや、違う、これは…!)」


 まさしく獣のように、身を低くしたシルビアがアルマの喉元へと飛び掛かる。

無理やり術式を解除させたアルマは、奥の手を出す。


「《離魂》!」


 触れたもの全ての魂を引き剥がす、対生物の切り札だ。

物質に囚われず、精神自体も廃する禁断の業。


「ああああ!」


 シルビアは構うこと無くアルマを攻撃した。すると、その手が瞬間に蒸散したものの。

次の瞬間には手が復元され元通りとなり、拮抗しながらもアルマの両腕を捕まえた。


「(なんだと!?)」


 本気で動揺するアルマの頭上に、光の雨粒が降りかかる。


 洪水のような音が周りの風景すら飲み込んでいった。


 



 

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