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SOS 060 気絶

 シルビアを除く二人は、その異常事態に対して咄嗟には動けなかった。


「そこの男連中は戦術ギルドだとして、

お前さんはあれか、冒険者ギルドの関係者か。

昔と違って、いい上官がいるらしいな」


 隠れる気は既に無いらしく、

枯れ木のような老人は足を前に踏み出した。

 その瞬間、パキリと小枝が折れる音がした。


「貴様は何者だ? ここで何をしている?

私は戦術ギルド所属士官候補生ライトニング・ガジェット。

返答によっては、拘束させてもらう」


 ガジェットが規則通りに口上を述べる。

それを聞いた男は、幻滅したように呆れた声を上げる。


「やれやれ、これだから戦術の連中は…。

少しはそこのお嬢さんを見習うべきだな」


 シルビアは既に次の術式を展開していた。


「《略・暗幕》」


 突如として、相手の周囲に闇色の幕が現れる。

こちらもそれほど強力な効果のある術式ではないが、

目くらまし程度にはなる。


「一旦距離を取ります」

「わ、わかった」

「了解した」


「本当は、まともに相手をしてやりたいのだが、

こちらにも事情があってね。申し訳ない」


 男がふわりと右手を薙ぐと、闇色の幕はあっさりと霧散した。


「時間は与えないぞ。

さあ、少しは必死になれ」


 考える暇を与えない男は、普通の足取りで三人の方へと向かってくる。


 怯むトールに対して、ガジェットは相手へと仕掛ける。


「《雷陣》」


 反応速度と身体能力、そして攻撃力を一度に引き上げる術式。

単純ではあるが、消費する神導力に見合うだけの効果はある

強力な実戦術式だ。


 瞬きする間に、ガジェットは相手との距離を零にする。


「悪くない」


 けれどその剣筋もまた、腕の一振りで霧散していく。

剣に纏う紫電も、剣本体も、(ことごと)く全てが消えていく。


「が、良くも無い。

力の本質を読み違えているぞ」


 流石に自信があったらしく、ガジェットの表情が驚愕に彩られる。


「まずは一人」


 その声にビクリと反応したガジェットは、切りつけた勢いをそのままに

藪の中へと滑り込む。

 それは逃げたわけでも、避けたわけでもなく、

一瞬で気を失ったガジェットが慣性に従い、その身を打ち付けただけだった。


「ああ、しまった…。

申し忘れたな。

私の名前はアルマ。アルマ・レオリスムだ」


 本当にしまったという表情で、

アルマは頭を掻いた。


 その名前を聞いて、思い当たらない国民は多分、一人もいないだろう。


「……《災厄》《無形のアルマ》…………?」


 トールがぽかんと口を開けて、

恐怖というよりも、呆気に取られている様子を見せる。


 いくら大言壮語を言うとしても、その存在は

今を生きる人間にとってはまさしく過去の遺物。


 歴史上の人物に相違なかったからだ。


「次は、どっちだ?」


 アルマがさらに、その足を前に踏み入れた。



 


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