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SOS 056 vsフランドル3

「《滞縛壁》」


 ヒナギクは、止まりかけた思考が動きだすのを感じた。

その声が聞こえた瞬間、破壊の渦がぴたりと止まり、

美しい万華の花が咲き誇る。


「悪い、待たせた」


 オズマットの声がヒナギクの耳を打つ。

 急速に景色と音が戻りはじめ、

現実の触感がヒナギクに入り込んで来た。


「ヒナギク。大事はないか?!」

「オズさん! 結婚してっ!」

「余裕だなぁ!? おいっ」


 人知れず結構焦っていたオズは、

ヒナギクの反応につんのめる。


「ひゅーひゅーっすね」

「ふざけてないで! ヒナさんもっ!」


 はやし立てるピースと、

それを(たしな)めるサティの声も聞こえる。


 ヒナギク的にふざけたつもりは無いのだが、

客観的に見るとそうでもなかったらしい。


「やれやれ、何でこんなことに…

《土煙幕》」


 聞いたことのない声が、

煙幕を張る。

 直感で敵ではないと悟り、

ヒナギクはフランドルから距離を取る。


 とりあえず、態勢を立て直す時間を稼ぐ為だ。


「オズさん。危ない所を

ありがとうございます」

「え? あ、ああ…」


 求婚された後で、普通に来られると

どういう反応をしていいか判断に困る。


 ただ、ヒナギクの表情は真剣で

オズマットもそれに倣うように

真面目な表情を作った。


「ヤバいです。強いです」

「まあ、そうだな。

しかし、このまま放置するわけにもいかん」


 対峙して手傷を負った冒険者達は、

ピースとサティが請け負った。

 煙幕のお陰で、他に逃げ遅れた者は居ない。


「こっちは?」

「俺とお前とおっさんだ。

土属性の上級者」

「残りは?」

「まだ余裕はあるが、そろそろ《滞縛壁》の

解除をした方が良い。

無駄に力を食っちまう」

「行きます?」

「お前俺おっさんの順番な」


 必要最小限の情報で動けるには、

経験値がモノを言う。


「…そっちの嬢ちゃんもヤベエな」


 山賊頭の男が呟くのを合図に、

ヒナギクとオズマットが動く。


 二人は既にフランドルの斜め後ろに移動していた。


「《解除》」


 オズマットが発した言葉によって、

フランドルの生成した術式が再びその花を

大きく開かせる。


 最初にヒナギクが立っていた場所は、

見る影も無いほど、ズタズタに潰されていった。


 そんな様子を見てなお、フランドルには一片の

感情も読み取ることが出来ない。


「《反鏡》《逆鏡》」


 ヒナギクが再び戦闘態勢に入る。


 その背後にはオズマットが控え、ヒナギクの

一挙手一投足を読み切り、絶妙な位置取りで

追走していた。


 常人ならざる戦闘経験の成せる技だ。


 その二つの影が、鏡写しのように増殖した

かと思えば、途端にフランドルを包囲する。


 フランドルは周囲をぐるりと

取り囲まれる形となった。


 それでも動じないフランドルは、

一瞬で本体を見抜き、実体を持つ

二つの影に術式を唱えた。


「(読まれてます)」

「(行け、止める)」


「《光穿閃》」

「《闇滞沼》」


 フランドルとオズマットが

同時に術式を発現させる。


 光の速さで巻き起こる熱閃を

オズマットが押し止める。

 熱閃は眩い光を緩やかに明滅させながら、

ゆっくりと前進する。


 ほぼ全力で術を放ったであろう

フランドルの表情が、ここに来て僅かに歪んだ。


 その隙を逃さず、

ヒナギクがフランドルへと切りかかる。




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