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SOS 055 vsフランドル2

 フランドルはそれでもなお顔色一つ変えず、自分に迫る熱波に対して

左手をかざした。

 そのまま左手と衝突した渦は、不思議な程呆気なくその暴力的な熱量を

拡散させていく。


 ヒナギクはその様子を見て、フランドルの神導力のおおよその理解をした。

彼は、熱に指向性を持たせることで、その威力を増大させているのだろう。

 逆に指向性を解放、あるいは相殺することで威力を打ち消したのだ。


 先ほどの木々が燃え散らないのは、

おそらく内側に圧縮させる力を働かせているためであり、

それ故に威力が強いと言える。


 ただ、一つの問題としては、明らかにフランドルの実力を

優に越えている術式ということだった。


 昔の名残でヒナギクは人物に対して、

自分が勝てるかどうかを検証する癖がある。


 正直、フランドルは才能こそあるが、それに驕り研鑽をしない人物であり

実戦であればヒナギク自身、後れを取るとは全く思っていなかった。


 けれど、フランドルの術の威力、工夫の技術、冷静な対処の

どれをとっても一級品の反応を持っている。

 数日前に出会ったフランドルと同一人物とは思えない。


「(洗脳? 覚醒? どっちにしろ、まずいっすね)」


 その危機的直感は当たる。

熱波攻撃を捌きながら、自身の射程距離に

近づいてくるヒナギクに対して、フランドルは攻撃を変化させた。


 両手の指先、一本一本から極小の粒のような熱波の渦を次々と生成する。

その粒は指先ほどの大きさしかないが、熱量は先ほどと変わらないほど

強力に込められている。


 しかも、不可視の熱弾に混じり、

敢えて可視化された熱弾も生成する手の入れよう。

 反射的に可視化された熱弾を意識してしまうため、

不可視の熱弾に対する注意が乱される。


 先ほどの大味な攻撃とは一線を画す、

極めて繊細な攻撃術式だ。


「(ありえない!)」


 ヒナギクがそう叫んでしまいそうになる程、

フランドルの組み上げた術式は洗練されており、美しかった。


「《万華繚乱》」


 文字通り、万を超えると錯覚するほど、綺麗な波紋が生まれた。


 ヒナギクは瞬間的に複数の回避手段を脳裏に思い浮かべるが、

どれもこれも一時的には回避できたとしても、追撃を捌くことが出来ない。


 また、連れてきた連中がこの様子を見て、

自分の手助けに入るとも思えなかった。


 相手がフランドルだと分かった瞬間、ヒナギク自身「勝てる」という

思い込みがあった。いや、正しくは思い上がりだろう。


 フランドルへの驕りを揶揄していた自分が、

自身の驕りで死ぬことになる。


 ヒナギクは、生まれて初めて死ぬことが怖いと思った。

 

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