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SOS 054 vsフランドル1

 ヒナギクは愛刀を抜く。対になっている二本の短刀がそれだ。

幅広の短刀は手入れが行き届いており、美しい刃紋と、鏡のような地金が特徴だった。


 彼女は、自分を良く理解している。

それは自分の立場上の期待役割という意味でもそうだが、

彼女自身の特性や向き不向きについてもそうだった。


 追い打ちをかけるように、間断なく次の攻撃が襲ってくる。

炎熱系の攻撃で一番捌きにくい、純粋熱波の攻撃だ。


「ぐぎゃ!」

「がぁ!」


 比較的技量の甘い冒険者連中が、次々とその餌食となる。

術の起こりを見極める技術が無いと、避けることも防ぐことも出来ないからだ。


 ヒナギクは彼らをいちいち護ったりはしない。

それは冷徹と思えるほどの判断だが、

その判断ができるが故にヒナギクは若くして管理官でもあると言えた。


 今、この場に居る全員の能力を合わせれば、

フランドルとて取り押さえることは出来るだろうが、

その為には半数以上が死ぬことになるだろう。


 そして、事件の黒幕も首謀者も分からず、

勝手に戦力を減らすことになるだけだ。


 そこまで考えて、ヒナギクは思考に邪魔な戦力を

削ることにする。


「退いてください。この場は死守で」


 この言葉で意味が分からない連中であれば、

護る意味は無い。

 無言の威圧は、少女が発したとは思えないほど怜悧な厳しさが籠っている。


 言うまでもなく、その言葉はベゲットの集団に対してでは無い。

彼らは、契約上の縛りしか拘束されない代わりに、

自由判断を与えられている自由冒険者だからだ。


「おい! さっさと引け! てめえら!」


 ベゲットは撤退を指示する。おたおたしているのは若い連中であり、

年嵩の冒険者は既に退いていた。ベゲットが彼らが退くまで残っているのは

少なからず集団の長であるという自覚を持っていたからだろう。


「(どうもっす、ベゲットさん)」


 ヒナギクは、それでも感謝は口にしない。

そんな悠長な暇はもう残っていないのだ。


 フランドルが次々と純粋熱波の攻撃を繰り出してくる。

僅かに揺らぐ空間を目端に捉え、ヒナギクは最小限の足捌きと身体の捻りで躱す。


 すり抜けた攻撃が背後の木々を削る。

あまりの光熱のためか延焼することはなく、空間が削り取られたように

ごっそりとその身を消失させていった。


 自分には当たらないことを見せつけたヒナギクだが、

フランドルは大して動揺もせず、また同じような攻撃を繰り出す。


 そこに違和感を感じたヒナギクが、右手に持つ愛刀を翻した。


 形も見えない熱波の渦に、その愛刀を振りかざす。


 すると一転、熱波の渦が逆流してフランドルへと攻撃の矛先を変えた。


 そしてそのまま、渦はフランドルの眉間へと一直線に進む。


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