SOS 048 警報
「ちょっと待て。
一旦ここで休止する。
とりあえず待機でいいぞ」
「あいあいっす」
「承知しました」
「…精鋭なのかどうか、
よく分からん連中だな」
オズマットの掛け声にピースとサティが
各々返事をする。
最後の声は先程の山賊頭のものだ。
ちなみに部下連中は、既に縛り上げられて
ミラの冒険者ギルド職員へ引き渡しされている。
山頂の異変に対しての
ギルマスからの要請が通り
別働隊が登坂していたのは助かった。
東側の冒険者ギルドはカルマリの
ギルドマスターの権限下にあるので、
多少の初動遅延は仕方無い所だ。
「いやあ、優秀だぜ?
お前さんも部下に欲しがる連中だ」
「ああ、強えのは認めるよ」
「さて、ちょっと見て来るが
おっさんもどうだい?」
「…一応、俺はお前たちに追われている
ってことになっているはずだがな」
ミラのギルドには、山賊頭が逃亡したため
追う必要がある。と説明して、
面倒な引き渡し業務を短縮したのだ。
「あん? 追ってるじゃないか
今まさに。
ただ、追いついていないだけさ」
「…やれやれ、で何か気になるのか?」
「ギルドの警報だよ」
オズマットは麓にある宿場町に向かう。
支部は無いが、各ギルドの簡易連絡版が設置してあるのだ。
遠距離連絡の技術は情報ギルドの秘匿技術とされていて
構造を理解しているのはギルドの中でもごく一部だったりする。
それは賢王の時代に制定された法律による制限であり、
曰く情報は何よりも重要な戦略の要と言われている。
もちろん、最前線で戦うことになる戦術ギルドの中には
その発言を快く思っていない重鎮も多い。
「ん? おいおい。こりゃ驚いたな」
「どうした?」
オズマットの声に、山賊頭が声を掛ける。
ほとんどが《巡幸》に際しての連絡と諸注意で埋め尽くされている中、
冒険者ギルドだけは《緊急依頼》を掲示していたからだ。
しかも、その内容がほぼ通常期の通常依頼にも関わらず、
報奨金が倍額になっているという支離滅裂っぷりだった。
「……なんだこりゃ、お前さんのとこ、どうかしちまったのか?」
山賊頭が目を丸くする。
「グレースの奴か…、なるほど、目的は分かるが、
誰を炙り出したいんだ?」
オズマットはじっと見て考える。
「炙り出すだと?」
「うん? ああ、多分それが目的だな。
うちの上司が、カルマリの領内で何かを探したがってるんだ。
普通に依頼するとやばい、何かだな」
山賊頭が、反応する。
「…何か知ってるのか、おっさん?」
「…知ってるってわけじゃねえ。
ただの噂だ」
「どんな?」
「…信じてるわけじゃねえが、あの《災厄》が生きていて
今度の新王の暗殺を企てているって、まあそういう類のマユツバ話さ」




