SOS 047 変更
「それは、どういうことですか?」
冒険者ギルドサブマスターである、グレースが
伝達係を担っている情報ギルドの
支部長、サンドリアに尋ねた。
「《巡幸》の時期が早まるということです。
もともと、事前に準備は終えているはずですから、
問題は無いと返答しております」
サンドリアは顔を隠しているので、
素顔を見たことは一度もない。
大体の情報ギルド職員はこういう感じだ。
「待って下さい。いま、
カルマリで起きている異常は
もちろんご存知ですよね。
それなのに早めるとは、どういう了見です?」
「いえ、ですから。
わたくしたち情報ギルドの見解として
問題は無い、と言っておるのですよ」
その言い方に、グレースは
ある含みがあることを理解する。
「……中央の、権力争いですか」
「グレース様。口は慎まれた方が、
女性は艶やかになりますよ」
その言葉を聞いて、
グレースは凍てつく視線を投げた。
「慎みで役職が務まるならそうしますよ。
……まあ、状況は分かりました。
出来ればギルド内で処置したかった案件ですが、
他のギルドにも依頼をかけましょうか」
「それは良かった。
私共もお手伝い致しますので
ご自由にお使いください」
高い支払いになりそうだと、
グレースは心の中で頭を抱えた。
「え? 早まるって、正気です?」
ヒナギクがグレースに聞きなおす。
「ええ、細かい理由は分からないけど、
中央の判断よ」
「…あんまり、それについては
関わらない方がよさそうですね」
勘の鋭いヒナギクが、それとなく察する。
歳は若いが、ヒナギクには天性の嗅覚がある。
危機を察知する嗅覚だ。
「でも、参ったな。
オズさんたちがまだ戻って来てないし、
シルシルとサンサンも連絡無しですし。
不測の事態だらけで、どうにもこうにもですよ」
「だから、あなたにお願いするのよ。
ギルド依頼で、カルマリ周辺の
獣害調査と討伐の頭数を増やして欲しい。
それに加えて、報奨金も倍額にしていいわ」
「え、ちょ、いいの?
あいつらアホだから、
何も考えずに飛びついてくるよ?」
思わず敬語も吹き飛ぶヒナギクが言うあいつらとは、
冒険者ギルドの囲う、常在冒険者たちのことだ。
「構わない。それと、
あなたには指名者依頼で
腕の立ちそうな上位職を連れて、
討伐待機をして欲しい」
「え? それって、どれに、というか
誰にです?」
「未確認だけど、馬鹿みたいな話が転がってきたの。
今回の《巡幸》を襲撃する予定で
《宝銘》持ちが雇われたらしいって」
ヒナギクはグレースの言葉を
吟味して、吟味して
こう結論付けた。
「それが本当なら、ここ
見捨てた方が、良くないです?」




